AUTOCARアワード2019予選 真のアイコン選手権 決めるのはあなた(前編)

公開 : 2019.03.16 09:45  更新 : 2019.06.03 08:54

BMW 3シリーズ

BMW 3シリーズこそが、後に「プレミアム化」と呼ばれる路線を始めたモデルであり、フォードやヴォクゾールよりも魅力的なブランドを冠して、装備では劣るものの、品質で上回るクルマを消費者が選ぶ契機を創り出すことに成功している。

1966年デビューの02シリーズから数えれば、プレミアム化には時間を要したが、このクルマの登場によって、過去40年間、クルマには大きな変化がもたらされている。

かの有名な2002が含まれているにもかかわらず、なぜ02シリーズがアイコンではないのだろう? その理由は、3シリーズに比べれば、02シリーズの販売台数がわずかに留まっているからであり、3ドア・ハッチバックのツーリングと人気のなかったバウアー製カブリオレを除けば、2ドアモデルしか選ぶことが出来なかったからでもある。

それでも、このクルマが3シリーズの下敷きとなったのであり、もしかしたら1962登場のジュリア・サルーンや1971年にデビューしたトライアンフ・ドロミテと言ったモデルが、のちにコンパクト・エグゼクティブサルーンと呼ばれるクラスを創り出すことになった可能性もあるが、結局、その役目は1975年にコンパクトでスポーティな2ドアサルーンであるE21の3シリーズによって、BMWが担うこととなったのだ。

このクルマもほとんど02シリーズと同じようなモデルだったが、現代的で、美しい仕上げを誇るスポーティなパッケージングに、滑らかな回転上昇が特徴の6気筒エンジンを搭載するという魅力的なオプションを備えていた。

しかし、セミトレーリングアームのリアサスペンションと、グリップを犠牲にしたキャンバーセッティングによって、ウェットコンディションでアクセルを踏み込めば、E21は簡単にスピンしてしまうようなモデルでもあった。

だが、E21と、後に続くほとんどすべての3シリーズに共通する重要な点というのは、高い品質と、味わい深いスポーティさを融合させたことにある。このクルマの新車当時、そのボディの堅牢性と、複雑なカンチレバー式ボンネットを含むボディパネルの正確な組立品質、さらにはソフトタッチのダッシュボード、心地よい操作感のスイッチ類やシートの耐久性といったものは、新たな基準に達していたのであり、
確かにメルセデスの組立品質も素晴らしいものではあったが、BMWほどのスタイリッシュさと、軽快さには欠けていた。


1982年デビューのE30では、4ドアとコンバーチブル、さらには、(もともとはBMWのスタッフが独自に作り上げたワンオフモデルを見た経営陣がすぐにプロトタイプの製作を指示した)ツーリング・エステートが登場し、E21の流れをさらに加速させている。

このBMWの動きにメルセデスも追随し、スポーティさでは劣っていたかも知れないが、1982年には数年を掛けて開発したW201型190Eをデビューさせている。プレミアム化はさらに加速し、BMWでは、1990年登場の3代目3シリーズで、その安定性に欠けたリアサスペンションを改良するとともに、初期のモデルでは組立品質に問題を例えてはいたものの、改善された重量配分とさらに向上した空力性能によって大きな進化を見せることとなった。

以降については多くを語る必要はないだろう。その後、4世代が登場した3シリーズのすべてで、多くの進歩が見られ、時にその進化は非常に大きなものだった。一方のM3は、常に初代ほどのドライビングプレジャーを味わわせてくれなかったかも知れないが、その速さには磨きをかけ続けている。

いまでは、数多くのフォロワーを生んだ3シリーズだが、成功したと言えるのはCクラスアウディのA4だけだろう。レクサスジャガーインフィニティボルボマツダ(誰かクセドスというモデルを覚えているだろうか?)、そしてキャデラックのいずれもが、3シリーズのライバルにはなり得ていない。

アルファの新型ジュリアが3シリーズに近いのかも知れないが、セールス面では依然として冥王星ほどの距離にある。

いまでは4シリーズの存在や、SUV人気によって、3シリーズの存在感は薄れてきているかも知れないが、このクルマは40年にもわたって、最高の品質を誇るファミリーカーとして、多くの主要モデルを市場から駆逐してきたのだ。
(リチャード・ブレムナー)

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