アルピーヌA110 毎日乗れる最高のスポーツカー 真のライバルは初代911?

2019.04.06

優れた見本 真のドライビングマシン

おそらく、長期テストにおける最高の1日は、サーキット走行のためにスラクストンまでロングドライブをした日のことだろう。サーキットに到着すると、パドックにはポルシェ911 GT3やメルセデス・ベンツSLSといった超弩級のマシンが集まっており、彼らは恐るべきペースで周回を重ねるだろうから、常にバックミラーに注意する必要があると覚悟していた。

ところが、周囲に気を配りながら走行していたのだが、結果的にA110を追い抜いていくクルマなど存在しなかったのだ。路面温度が低く、やや滑り易い状況のサーキットで、ドライバーに必要なのはパワーやグリップではなく信頼感であり、このクルマ以上の自信を与えてくれる最新のスポーツカーなど存在しない。

以前、A110だけでその開発費用を回収することは非常に難しく思えたので、アルピーヌの計画実現性には疑問を呈したことがある。A110はメインストリームのモデルではなく、生産台数でその開発コストをカバーするのであれば、ブランドにはより一般的なモデルが必要であることを認識すべきだろう。そして、こうしたブランド作りは、以前よりもはるかに難しい任務となっているのだから、A110に求められる役割は、これまでとはまったく異なるものになるのかも知れない。

それでも、A110が示しているのは、世界中のスポーツカーやスーパーカーメーカーは、このクルマから何かを学ぶ必要があるということであり、スポーツカーだからといって、実用性を犠牲にするほどのワイドボディや、印象に残るドライビングのためだからと言って、驚くほどのパワーを誇る必要などないのだ。

その対極に位置するA110は、軽量コンパクトなモデルとして、スポーツカーが必ずしも暴力的であったり、快適性を犠牲にする必要もなければ、その結果、ドライビングの楽しさが奪われることもないということを証明している。

だからこそ、A110は重要なモデルなのであり、少なくともそう評価されるべき存在なのだ。このクルマほどの楽しさを備えたモデルを探し出すには、違った時代に目を向ける必要があり、それはわたしが生まれる以前にまで遡るが、それでも、A110は1964年に初めてポルシェ911や901を運転したひとびとが感じたに違いないものを思い起こさせてくれる。

アルピーヌもポルシェも、真のドライビングマシンは毎日乗ることはできないなどという思い込みを真っ向から否定している。実際、この2台であれば、例えもっとも不似合いなシチュエーションであっても、常に運転を楽しむことが可能であり、その事実こそが、むしろこの2台にとってはもっとも重要な点とも言える。

911は史上もっともアイコニックな不朽の名作であり、このクルマの後を追う資格はA110にも十分備わっている。それでも、実際にそうなるかどうかは、まったく別の問題だ。

 
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