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ホンダ英国スウィンドン工場閉鎖 真の理由は? 専門家に聞くその原因

2019.04.20

デザイン

間違いなく、過去ホンダからは見事なルックスのモデルが多数登場しているが、特に主力モデルにおいては、そのスタイルとブランドに一貫性があったとは言えない。「素晴らしいモデルが存在しましたが、それが販売数量増には繋がっていません」と、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザイン部門トップを務めるデール・ハローは話している。

さらに、ハローは、ホンダがこれまで自社モデルのフロントマスクといった部分にこだわったことがあっただろうかと言い、HR-Vといったモデルのルックスに関しては、控えめでありきたりなものに留まっていると話しており、最新シビックの暴力的とも言えるボディシェイプや数々のエアベント、そしてそのスタイリングなどは、とても同じメーカーによるものだとは思えないだろう。

ホンダがいまだに対応出来ていない基本的な問題が、欧州市場全体で、統一されたブランドイメージを創り出すことができていないということであり、とりわけ英国のホンダオーナーは、ドイツや東欧の国々と比べ、年齢層が高くなっている。

統一したブランドイメージを持たないことで、デザイン作業が難しくなっているにもかかわらず、ホンダがいまのやり方を改めるつもりはないようだと、「欧州ユーザー」向け業務を担当している内部情報筋は話しており、その替わりにホンダでは、各国/地域ごとの自主性を認めているという。

ホンダはエンジニアリング主体のクルマ作りをすることで有名であり、「欧州のホンダファンの嗜好を反映した高品質なクルマを投入する」というやり方を今後も変えるつもりはないようだ。


しかし、自動車デザインの専門家でさえ、もしそれが存在するとして、ホンダのデザイン責任者が誰かを言い当てることはできない。その替わり、製品開発で力を持っているのは、LPL(Large Project Leader)と呼ばれるひとりのエンジニアであり、LPLには、海外市場向けモデルの共通デザインなどに縛られることなく、市場に独自モデルを投入する役割が与えられているのだ。

ハローは、「依然としてホンダ社内には、デザインよりもエンジニアリングのほうが優先されるという感覚が残っているのです」と話す。ホンダもドイツに欧州デザインスタジオを持っているが、ここが日産のロンドンスタジオのような存在感を発揮したことはない。

キアやヒュンダイとはまったく対照的であり、この2社は、ドイツにあるスタジオで欧州向けデザインを創り出すべく、ペーター・シュライヤー(元アウディ)とトーマス・バークル(元BMW)を招聘しており、こうして生み出されたのが、販売好調なツーソンやサンタ・フェといったモデルたちだ。

欧州出身のデザイナーを迎え入れたことで、ヒュンダイとキアにはモデルラインナップにおける一貫性がもたらされており、こうした一貫性は、この2社が販売台数でホンダの後塵を拝していた時代には見られなったものだ。

「ホンダが海外からデザイントップを招き入れたことはありません」とハローは指摘している。「これが示しているのは、ホンダの経営トップがデザインのもたらす価値をあまり評価していないということです」

 
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