なぜポルシェはリアエンジン車を作り続けるのか 継続でみえた可能性 再び主役に?

公開 : 2019.05.28 11:50

続けることで広がったRRの可能性

デメリットの多い大パワーのRRレイアウトを大前提としつつ、そのネガティブをひとつひとつ潰してきた流れがそのままポルシェ911の歴史になっている。だが911という危うい看板商品の裏側で、’70年代のポルシェのエンジニアたちが「理想論への回帰」を目論んでいたことは秘密ではない。

トランスアクスルによって前後重量配分の最適化をはかり世界最高のFRスポーツカーと言われた944や928、そしてレーシングカーの開発で培ったノウハウの活用とコストダウンを両立した914等がそれである。

「911以外のポルシェ」は最高レベルの評価を得たが、しかし商業的に成功するには至らなかった。最高であることと魅力的であることは別の話。突き詰めるべきは誰も追従することのできないRRであると、この時ポルシェは確信したのである。

’70年代の終わり頃、RRレイアウトの弱点を克服するアイデアが浮上する。それは911のAWD化である。

ミドシップのスポーツカーを4駆にするには、一旦リア側に取り出した出力をエンジンブロックの脇を掠めてフロント側に送る複雑なシステムが必要になる。だが車体後方からエンジン、クラッチ、ファイナルドライブ、ギアボックスという順で並ぶ911ならば、ギアボックスから前方にプロペラシャフトを伸ばすことも容易だった。

AWD化された911はRRの弱点であるリア寄りの重量配分が是正され、またスタビリティの確保にも成功している。ダカールラリーやル・マンで実績をあげた後、それは’80年代の終わりにカレラ4として具現化されたのだった。

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