なぜオープンカーは激減したのか SUVの影響? メーカーの見解 解決策は

公開 : 2019.06.05 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

なぜオープンモデルは減ったのか 関係者の証言

自動車メーカーの商品企画担当者にオープンモデルの販売動向を尋ねると、「オープンモデルやスポーツカーには、若者向けのクルマというイメージがあるが、実際の購買層はセダンと同様に高齢化して売れ行きを下げたのです」という。

確かにオープンモデルは、クルマのカテゴリーとしては古い。今の若年層には、クルマそのものを楽しむオープンモデルより、スキーに出かけたりする時のツールとして使えるSUVの方が、価値観として馴染みやすいだろう。

つまりオープンモデルは、クルマが憧れの対象だった「昔の若者グルマ」になる。そこに魅力を感じるのも昔の若年層(つまり今の中高年齢層)だ。クルマが珍しい憧れの存在ではなくなり、日常生活のツールになると、オープンモデルの人気も下がってしまう。

海外のオープンモデルやスポーツカーを見ても、中高年齢層を対象にしていることがわかる。

例えば北米では、フォードマスタングシボレーカマロなどのスポーツカーがオープンモデルを用意するが、外観は1960年代から1970年代に販売された初代モデルによく似ている。40〜50年前にこれらのスポーツカーを所有したり、憧れた世代をターゲットにしているから、ボディスタイルも懐古趣味的になった。

フォルクスワーゲンの関係者は「かつてゴルフとかニュービートルのオープンモデルが北米、欧州、日本で人気を得ていたが、近年では売れ行きを大きく下げました。そのためにフォルクスワーゲンは、オープンモデルの開発に消極的です」と語る。

「プラグインハイブリッド車をそろえたり、将来の環境技術、自動運転技術に力を入れる必要もあり、オープンモデルは後まわしにされています」とも。フォルクスワーゲンもオープンモデルのラインナップを減らした。

同じドイツ車でも、メルセデス・ベンツBMWにはオープンモデルが用意されるが、これらは高価格なプレミアムブランドだからユーザーの年齢層も高い。

オープンモデルを好む中高年齢層とプレミアムブランドは相性がよく、今でもラインナップされている。ただしこの状態が続くと、クルマ好きには悲しい結末が訪れるかも知れない……。

いっぽう、SUVは人気をあつめている。これは楽しいクルマが衰退する予兆なのだろうか?

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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