[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

MGの救世主になり損ねたスポーツカー EX234開発計画 もし実現していたなら

2019.06.22

100字サマリー

杜撰な事業計画のために、MGはとっくに製品寿命の尽きたミジェットとMG-Bを売り続けなければなりませんでした。1台だけ製造されたプロトタイプのEX234に乗ったマルコム・ソーンは、このクルマがあれば状況がまったく違っていただろうと語ります。

もくじ

手頃なロードスター
後継車としてのEX234
プロジェクトを振り返る
開発計画の棚上げ
廃車を免れたEX234
40年ぶりに市場へ
今でも魅惑のマシン

手頃なロードスター

MG-Bとミジェットには気の毒な気がしてならない。発売当時、どちらも傑出したクルマだった。人の気持ちを捉えるに十分なクルマであり、その気になれば大きく手を加えてチューニングもできた。価格も維持費も手頃なこの2台は、1960年代初期の最良のロードスターといえるだろう。

スノビッシュな気持ちや、平凡なスポーツカーを蔑視したくなる気持ちを抑え、真正面からこの2台を見据えれば、そう評価できる。発売当時のまだ不評を被っていない頃には、この2台は、ワイヤーホイールを履いた最も美しい2シーターのひとつだった。しかし、これこそ問題の核心なのだが、それからの時間の経過と状況はこの姉妹モデルに恥知らずなほど冷酷だった。

ミジェットとMG-Bが生産中止になった1979年と1980年には、性能の優れたスポーツカーを求める普通のクルマ好きにとって、時代は前輪駆動の高性能車が中心となっていた。こうした背景の中で、MGの2台のクルマは、ブライアーのパイプを吹かす老紳士のように古風な存在だった。この2台は、どう見てもディスコ世代のためのスポーツカーではなかった。

わたし自身はこの美しいブリティッシュロードスターの大ファンだが、1960年代末までに現役から退くべきだったと思う。実際、簡単にそうすることができたはずだった。この2台に代わって登場する筈だったニューモデルのことを思うと、今でも嘆かずにいられない。このニューモデルは、誇らしげにMGのエンブレムを掲げた、勇猛な高性能スポーツカーのイメージを思い起こさせる、EX234と名付けられていた。そのクルマが今、明るい春の日差しを浴びてわたしの目の前にある。

 
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