奥深きスロットカーの世界 大人の楽しみ 精巧な造形 決め手はコントローラー

公開 : 2019.07.21 18:50

細部へのこだわり 電気代はわずか

ラスのミニに戻ろう。鉛のような小さなウェイトを使って、いかにしてシャシーの重量を調整し、その重心位置をさらに下げようとしているのかを見て驚かされた。小さなデジタルスケールを取りだして、重くなりすぎない様にマシンの重量を測定している。

重すぎるウェイトは加速と減速に影響を及ぼすだけでなく、各レース前には、クラブのオフィシャルの手で、それぞれのマシンの重量が厳密に測定されているのだ。

続いてラスは、インテリアにおける素晴らしい腕前を披露してくれた。彼はノーマル車両のシートとダッシュボード、ウインドウスクリーンを取外し、歯科医が使うバキューム式成型機で製作した、より軽量な、オリジナル部品へと変更している。

「このミニのウインドウスクリーンは0.78gですが、ノーマル車両では2.739gもありました」と、彼は嬉しそうに話す。

だが、こうした細部に対するこだわりも、ハンドコントローラーに比べれば問題ではない。手の平ほどの大きさの、親指で押し込むタイプを想像していたが、ラスが手渡してくれたのは、数多くのノブが付いた、まるでピストルのような形状をしたものだった。


左側のノブには「アタック」という表示がしてあり、このノブを回すと加速が変わると言う。その次のノブはチョークの役目を果たしており、より細かなコントロールができるように電圧を制御している。3番目のノブはブレーキングに関連しており、トリガーを離した時の反応を調整する。

コントローラーの中心には、コースアウトにうんざりしているようなスロットカーレーサーであれば、思わず手を出さずにはいられない、4つの小さなスイッチが並んでいる。簡単にいえば、スロットルレスポンスを調整するためのものであり、滑らかなレスポンスから、非常に荒々しいものまで調整が可能だ。

レースは毎週木曜日と隔週月曜日に行われているというが、電気代はどれくらいになるのかとラスに訊いてみた。

「たった15ポンド(2000円)です」と、彼は得意満面に答えてくれた。「しかも、そのほとんどが電気ポット代なのです」

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