ジャガー・ランドローバー 2年以内に5車種の新型車 生き残り賭け

公開 : 2019.08.13 06:00

バッテリーやモーターも英国内で生産

JLRは既にBMWと共同で次世代の電気駆動ユニット(EDU)を開発すると発表している。JLRはこのEDUをウルヴァーハンプトンのエンジン工場で製造するつもりだ。同社によれば、この工場では、現在のガソリンおよびディーゼル「インジニウム」エンジンの製造から、EDUの生産へとシームレスに移行することが可能だという。

JLRのラルフ・スペスCEOは先日、バッテリーがEVのコストの40%を占めること、そしてそのバッテリーパックを英国内で生産し、英国製の車両に搭載することが、この国にとって経済的必要性になると語った。

5代目レンジローバー(イメージ)
5代目レンジローバー(イメージ)

バッテリーの英国生産を確実なものにしない限り、自動車の製造は国外へ移り、英国自動車産業は打撃を受けることになると、スペスは予想している。

JLRは確かな目標を掲げ、今後12〜24カ月にわたる生産計画を実行中だが、直近に取り組まなければならない多くの問題を抱えている。既存モデルの販売は落ち込みを続けており、2019年の1月から4月までの販売台数は、前年同期比でジャガーが11%減、ランドローバーは13%減だった。

JLR 発売予定の5車種の新型車

ジャガーXJ:2020年後半

1968年に登場したXJは、スムーズな走り、優れたハンドリング、安楽な高速走行性能において新たな基準となった。古い宣伝文句「グレース、ペース、スペース(優雅で速くて広い)」は、純粋な電気自動車となる新型XJにも完璧に当てはまるだろう。ただし、JLRはこのMLAベースとなる新型車について、事実上は何も語っていない。最近ジャガーを辞めたデザイン部門責任者のイアン・カラムは、新型XJが本物の豪華さを提供するとともに、運転すると依然としてジャガーらしさを感じるクルマになるとほのめかした。おそらく、運転手付きの高級車に適したこのEVは、ロングホイールベースのみとなるだろう。

ランドローバー・ディフェンダー:2020年後半

この新たに生まれ変わる英国車の象徴的モデルは、新開発のMLAプラットフォームによる洗練された乗り味と、無骨ながら滑らかさを増したルックス、そして驚くほどレトロなインテリアを併せ持つクルマになるだろう。ショートボディの90とロングボディの110に加え、3列シートを備える130が2022年に追加される。新型ディフェンダー・ファミリーもプレミアムな価格帯を引き継ぐが(エントリー・レベルの90が約520万円からになる見込み)、現在の過度に高級化が進んだプレミアムSUVの市場では問題なく、「活動的な」家族に向けたより説得力のある選択肢として、切り込んでいけるだろう。

ジャガーJペース:2021年中期

ジャガーJペース
ジャガーJペース

Jペースはレンジローバーと多くを共有するフルサイズSUVで、Fペースが抱える問題に取り組むことになる。それは主に、より洗練されたインテリアと、より先進的なインフォテインメントを備えるということだ。Jペースには、新しいインジニウム直列6気筒エンジンが、マイルドおよびプラグインハイブリッドとの組み合わせで搭載される。このエンジンは2025年まで大事な役割を担う。2025年の世界販売において、ガソリン・エンジンは依然として49%を占めるとJLRは見ている。一方、ディーゼルは12%に留まる見込みだという。

レンジローバー「ロードローバー」:2021年後半

2018年から2019年にかけてJLRの販売は落ち込んだが、それでも年間70万台に向け上昇の兆しは見えている。現在の販売損失は、やっかいなEUの平均CO2規制によるところが大きいからだ。2025年の目標値に適合するため、JLRではプラグインハイブリッドに力を入れている。しかし、さらに効率に優れた車高の低いモデルも必要とされている。それが、「ロードローバー」という車名でうわさされているモデルだ。MLAプラットフォームを使った4番目の新型車となるこのクルマは、オンロードの快適性や運動性能を重視しながら、オフロード走破性でもライバルを凌ぐクロスオーバーになると言われている。そしてこれがレンジローバー・シリーズ初の電気自動車になるだろう。

レンジローバー:2022年

発売が2012年であるにもかかわらず、アップデートを受けた4代目レンジローバーは依然としてJLRに大きな利益をもたらし続けている。販売が減少し始めたのは、ほんの数カ月前になってからだ。第5世代モデルのスタイリングは、内外装ともようやく完成したばかりで、ランドローバーのデザイン・チームが重圧を背負っていたことは明らかだ。先代と同様、5代目レンジローバーは豪華な室内を実現し、外観には尊大な優越性を感じさせる雰囲気が維持されていなければならない。最も売れると予想されるプラグインハイブリッド・バージョンは、電気のみで60km以上の距離を走行可能になる。

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