[ABARTH 70周年]嶋田智之が、いま見つめるABARTH 595

アルファ・ロメオ・トナーレ フィアット・チェントヴェンティ 次代を担うコンセプトモデル 前編

2019.09.16

永遠の謎

フランソワは製品会議で、自身のアイデアを披露するに相応しいタイミングを図っていたが、同時にマルキオンネが「彼が比較的平凡な宣伝のために莫大な予算を求めていると考えている」ことにも気付いていた。

だからこそ、プリントアウトした広告案ではマルキオンネが嫌っていた「新型パンダ」の名を使わず、シティカー(City Car)の4代目を意味するCC4と呼ぶことにしたのだ。「それを飛行機のなかでパラパラとめくって見せました。マルキオンネの反応ですか? 彼は『気に入った』と言ってくれました」

フィアット・チェントヴェンティ
フィアット・チェントヴェンティ

「それからプロトタイプの製作に着手しましたが、決した最優先というわけではありませんでした。1年前の時点では時期尚早だったのです」ふたたびマルキオンネに注目させる新たな方法を見つけ出す必要があった。「しばしばクルマについて話をする機会がありましたが、つねに意見が同じだったわけではありません」

その後フランソワはコンピュータグラフィックスによる2分間のビデオを作製しているが、マルキオンネがそれを見たかどうかは永遠の謎だ。マルキオンネに送信されたこのビデオのリンクが開かれることはなかったと言われており、彼が亡くなったあとも机の上に残されたままとなっていたUSBメモリーの中味が、実際に確認されたのかどうかを知る術はない。

(中編へつづく)

 
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