ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ サンターガタへの帰還 後編

公開 : 2019.11.10 08:50

困難な時代 唯一の望み

これはサーキットテストが当たり前になる前の話であり、初めてニュルブルクリンクというものを経験する以前のことだった。

ファザネットはディアブロGTを崇拝しているが、「ランボルギーニにとって初めてと言える大きな飛躍であり、それまでのモデルと比べまったく違ったモデルでした」と言う。

生産台数ではウルスが屋台骨を支えているが、鮮やかなカラーとマリオ・ファザネットの存在がランボルギーニが単なるSUVの量産メーカーではないことを思い出させてくれる。
生産台数ではウルスが屋台骨を支えているが、鮮やかなカラーとマリオ・ファザネットの存在がランボルギーニが単なるSUVの量産メーカーではないことを思い出させてくれる。

さらに笑みを浮かべつつ、フルスロットルではセントラルビスカスカップリングの容量を超えるトルクを発生させるムルシエラゴSVについて、あまりにも野性的過ぎたかも知れないと話す。

そして彼はわれわれにペルフォルマンテでどのくらい速く走ったのかと質問すると、芝居がかった様子で後ずさりして、ドアのフレームに捕まるような仕草をしてみせてくれたが、わたしにはそれで十分だった。

彼こそがペルフォルマンテの生みの親であり、いまやその重責はかつてなかったほどのものだ。

ウルスが収益性を大きく向上させ、いまやランボルギーニの企業価値は110億ドル(億円)に達している一方で、あの見事な自然吸気エンジンたちはなんとかその命脈を保とう必死の戦いを続けている。

ペルフォルマンテはランボ―ルギーニが真のドライビング好きのために送り出したモデルだが、さらに改良を加えたウラカン・エボでは、彼らはより分かり易いダイナミクス性能を実現すべく、実験的ともいえる複雑なシャシー電子制御を採用している。

速く魅力的だが、極限のスピードではドライバーとの繋がりを感じさせないようなモデルしか生み出すことの出来ないありきたりの技術を放棄したことで、ますます速く、エモーショナルでドライバーとの一体感を感じさせるモデルを創り出すことは難しくなっている。

だが、ランボルギーニはいまや最高の状態にあり、サンターガタの地で、その魅力的なキャラクターはますますその輝きを増しているようだ。

唯一の望みは、ランボルギーニの主力モデル、つまりはスーパーカーが、その美しさに見合った見事なパワートレインを失わないことだけだ。

番外編1:イタリアンジョブ

ペルフォルマンテであれば今回のルートを1日で走破することも可能だが、われわれは2日に分けて走行している。

もし3日目があれば、ニュルブルクリンクで何ラップかをこなすとともに、グロスクロックナー・パスにも挑戦したことだろう。

ウラカン・エボ
ウラカン・エボ

この道は、魅力的だがそれほど畏敬の念は感じさせてくれないジルヴレッタよりも、さらにオーストリア東部に位置している。

番外編2:サーキットのウラカン・エボ

ランボルギーニが初めてニュルブルクリンクに姿を見せたのは、1999年のディアブロGT開発中のことだったが、最近ではより頻繁にその姿を現している。

ウラカン・ペルフォルマンテが公道モデルとして初めて7分の壁を破ってポルシェを驚かせると、アヴェンタドールSVJがそれに続いた。

彼らの狙いのひとつが、懐疑的なポルシェ911 GT3のオーナーたちに、新型ウラカン・エボのようなモデルも、ポルシェお得意の見事なダイナミック性能に引けをとらないパフォーマンスを発揮することができるということ示すためだ。

そのため英国版AUTOCARにはニュルブルクリンクを舞台に、シニア開発ドライバーを務めるニコラ・ピアンカステッリがステアリングを握るエボを追うべく、もう1台のキーが手渡されることとなった。

まずお伝えすべきは、フェイスリフトを受けたこのクルマも依然として非常に信頼性の高いマシンだということであり、さらに最初のラップから8分を切ることができたという事実だ。

だが、このクルマにはESCとトルクベクタリング、さらには可変式ダンパーと組み合わされた四輪操舵システムが搭載されている。

その結果が、ペルフォルマンテさえ凌ぐ見事な機敏さであり、そのシャープなターンインは常軌を逸するレベルに達している。

実際に味わうことのできるスリルという点で、このクルマのようなモデルはほとんど存在しない。

だが、こうした性能を可能にしているのが電子制御であり、サスペンションジオメトリーが旧型ウラカンそのままであることは、GT3のオーナーなら感じとることができるに違いない。

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