英国版中古車のすゝめ オースチン・アレグロ コンパクトカーのほろ苦い過去

公開 : 2019.11.10 07:50  更新 : 2020.12.08 10:56

掘り出し物を発見

オースチン・アレグロ 登録1979年 走行6万6613km 価格5995ポンド(83万円)

2015年に5000ポンド(69万円)を掛けてレストアしてある。部品のいくつかは交換され、再塗装もされている。Eシリーズのエンジンはリビルト済み。その経過は写真で残っている。走行距離も間違いないようだ。

オースチン・アレグロ
オースチン・アレグロ

リアのホイールアーチに塗装の気泡があるが、地金の状態は良い。ベルトライン下部まで再塗装してある。塗装は完璧とはいえないが、小豆色のボディカラーはしっかり合っている。プラスティック製のシルカバーの状態は良く、ホイールカバーやバンパーも悪くない。

タイヤは残り溝半分程度のグッドイヤーGT70。スペアタイヤにはミシュランZXが付いている。

インテリアのレザーはややくたびれているが、木パネルは綺麗。ビニール巻きのドア内張りも良好で、時計やラジオも動いている。

ボンネットの内側の状態は素晴らしく、インナーフェンダーも完璧。だがエンジンオイルは汚れており、量も少ない。ラジエタークーラントがリザーブタンクの下に付着している。

エンジンの始動性は良くアイドリングもスムーズ。水温も安定している。ブレーキのフィーリングは良くないが、まっすぐ止まる。トランスミッションは変わらずグニャグニャした変速感。

乗り心地は良い。ステアリングコラムにやや遊びがあり、ボールジョイントもガタがある。だが車検に通らないほどではないだろう。

オーナーの意見を聞いてみる

「子供の頃、母が乗っていました。黄色の小さなアレグロで、色んな所へ行きました」 と振り返るのはオーナーのアレックス・フィリップス。

「ローバーP6を抹消してレストアを始めたのが2014年。その間に乗れるクラシックモデルを探していて、eBayで800ポンド(11万円)見つけたのがこのアレグロです」

オースチン・アレグロ(1973〜1982年)
オースチン・アレグロ(1973〜1982年)

「女性のワンオーナー車で、トライアンフ・ヘラルドから乗り換えたあと、40年ほど所有していたそうです。わたしが購入してからは、フロントフェンダーのサビを修理し、サイドシルを再塗装しました。エンジンから白煙が出ていたのでリビルトしています」

「フロアカーペットの色も塗り直し、ホイールキャップも入手しました。クロームメッキのパーツも新しく交換しています。このクルマは何度かコンクールで受賞していますし、運転するのも大好きです」

まとめ

ハリス・マンによるズングリしたデザインと、ハッチバックのないボディ。当時のBLMCらしい組み立て品質の悪さによって、新車当時は評判の悪かったアレグロ。しかし現代では実用的なクラシックカーとして見られるようになった。

デザインも含めて存在が個性的な、他にはない魅力を持った穏やかなコンパクトカーだ。残っているクルマは走行距離も少なく、大切にされてきた場合が多い。価格も手頃で価値は充分にある。

良いトコロ

オースチン・アレグロ(1973〜1982年)
オースチン・アレグロ(1973〜1982年)

安価でシンプル、信頼性も悪くないアレグロ。長く続いた悪評も乗り越えてきた。熱心なオーナーズクラブもあり、部品供給や修理の相談ができる体制が英国にはある。

良くないトコロ

価格が安いということは、経済性重視で乗られてきたということ。長い間メンテナンスをおろそかにされてきたクルマの状態を、今から改善することは大変。

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