【ドアが外れたクルマも】ポルシェ初のEV、安全テストで5つ星 テスラに次ぐ 欧NCAP

公開 : 2019.12.06 10:20

独ポルシェ初の完全EVスポーツカー「タイカン」が、最新のユーロNCAP(自動車安全テスト)で5つ星を獲得しました。同サイズのカテゴリーにおける総合成績では、米テスラの電動SUV「モデルX」に次いで第2位です。

ポルシェタイカン4S vs テスラモデルX 軍配は?

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:Taeko Yamamoto(山本妙子)

世界各国で実施されている消費者団体の安全性自動車安全テストのうち、最も知名度が高く権威があるとされるユーロNCAP。

テスト項目は、「乗員保護」「歩行者保護」「チャイルドプロテクション」「安全支援機能」の4種類。

テスラ・モデルX、最高得点獲得。
テスラ・モデルX、最高得点獲得。

結果は得点および星の数で公表される。ユーザーに安全性の目安となる情報を提供し、メーカーにより安全な自動車開発を促すことが目的だ。

エントリーレベル「4S」に、パフォーマンスバッテリーパッケージを搭載して挑んだ4ドアスポーツカー、タイカン。「乗員保護」において、大人と子ども両方の乗員の安全性で80%以上のスコアを獲得した。

ユーロNCAPは、「体の大きさ、座席の位置が異なっていても、安全性にばらつきがありません」と高評価。

一方、2016年イギリスでの販売以来、初めてのチャレンジとなった7人乗りSUV、テスラ・モデルX。今年すでに5つ星を獲得した「モデル3」の後継としてテストに臨んだ。

ユーロNCAPは、「ほとんどのケースにおいて、衝突が回避または緩和されました」と評価し、電動SUVのAEB(自動緊急ブレーキ)システムを称賛。

年々厳しくなる安全性評価基準 

そのほかに5つ星を獲得したのは、新型の米フォード・クーガ 、 仏ルノー・キャプチャ、独アウディQ7 、日スバルフォレスター 、米フォード・モンデオ、およびチェコの2020シュコダ・オクタビア・エステート。

フォルクスワーゲン・シャランとその兄弟車アルハンブラは4つ星を獲得。シャランは、「サイドポールテスト」でパフォーマンスが低下したためペナルティを科されることに。

衝撃の際に左側の後部ドアが外れたシャラン。
衝撃の際に左側の後部ドアが外れたシャラン。

衝撃の際に左側の後部ドアが外れてしまったのだ。

自動車のセーフティ&セキュリティの専門家、英NPO団体のThatcham(サッチャム)によれば、これは「乗員が放り出されるリスク」と見なされる。

評価基準は年々厳しくなっているため、過去に高い評価を受けたクルマがいつも高得点を獲得するとは限らない。

レガシーなクルマも、安全性は最新に

ユーロNCAP事務局長のミシエル・ファン・ラティンゲンは、次のように述べた。

「最高得点のテスラ、そして5つ星を獲得したメーカーの皆さんはよくやったと思います」

欧州のスタンダード、NCAP。
欧州のスタンダード、NCAP。

「これはテストの成績に限った話ではありません。各社の努力により、われわれユーザーは安全システムを装備したクルマを手に入れることができるようになり、また、それが欧州全体のスタンダードをつくってきました」

「(今回のフォードとフォルクスワーゲンのように)歴史のあるクルマであっても、顧客にとって何が大切かを考え、安全性を最新の状態に保つということはとてもよいことだと思います」

次回が今年最後のテスト。結果は、2019年12月18日に公表される。

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