【F1】ルイス・ハミルトン 英国最高のアスリートなのか? 実像に迫る 前編

公開 : 2019.12.08 10:50

プロフェッショナリズム

そのファッションや定期的な米国通い、R&Bシンガーとの共演、ハリウッドの友人たちといったF1を離れたハミルトンのライフスタイルを見て、彼にはハードワークが足りないのではないかと思うひとびともいるが、それはまったく見当違いというものだ。

メルセデスが達成した6年連続となるドライバーズとコンストラクションのダブルタイトル獲得という前人未到の偉業は絶え間ない努力の結果であり、つねにその中心にいたのがハミルトンだった。

2007年シーズン、フェルナンド・アロンソはルーキーのハミルトンに手を焼くこととなった。
2007年シーズン、フェルナンド・アロンソはルーキーのハミルトンに手を焼くこととなった。

今年8月のハンガリーGPではレッドブル・ホンダのフェルスタッペンとの死闘を制し、ハミルトンは前半戦を今季最高の勝利で終えることに成功している。

その結果12戦中8勝を上げ、チャンピオンシップ争いで62ポイントもの大量リードを確保することに成功している。

6度目のタイトル獲得はほぼ決まったようなものだったが、レース終了後のハミルトンはメルセデスのエンジニアたちに対して、「もし何か改善できる点があると思えば、まったく遠慮することなく」連絡して欲しいと頼んでいる。

メルセデスF1チーム代表のトト・ウルフは、「ルイスがパフォーマンスに関して妥協するようなことはありません。非常に自分に厳しく、彼以外にレース後『今日のドライビングはまったく良くなかったので、データをチェックしないで欲しい』と話すようなドライバーに会ったことがありません。しかもそれが6度もタイトルを獲得したチャンピオンの口から発せられるのです」と話す。

「毎日向上しようとするこの絶え間ない努力と、自らに対する厳しすぎるほどの正直さ、ミスや欠点を克服しようとする組織のなかでの透明性といったものが、ルイス・ハミルトンというドライバーを表しています」

レースへの姿勢

すべての偉大なアスリートと同じくハミルトンは負けず嫌いであり、それが彼を勝利へと駆り立てている。

今年のハンガリーGPを振り返ってみよう。フェルスタッペンがレースをリードしているなか、チームはハミルトンに2度目のピットストップを指示しているが、この残り22周の時点でフェルスタッペンとの間には20秒の差がついていた。

ルイス・ハミルトン
ルイス・ハミルトン

「決して『天才的なドライビング』などとは思いませんでした」と、後にハミルトンは語っているが、19周後にトップに立っていたのは彼だったのだ。

バーレーンGPでもフェラーリのシャルル・ルクレールが圧倒的なリードを奪うなか、この日明らかに速いのはフェラーリのマシンだったにもかかわらず、ハミルトンはベッテルとのバトルも制し、このレースに勝利している。

ハミルトンはベッテルをパスすると、彼にプレッシャーをかけることでさらなるミスを誘っている。もしハミルトンが十分なプレッシャーをベッテルにかけることが出来なければ、勝利目前でエンジントラブルに見舞われたルクレールに替わってレースを制したのはベッテルだっただろう。

ハミルトンの闘争本能が現れていたのがレース中の無線で見せた不機嫌な様子だ。

だが、彼はどれだけタイムを失ったのかと聞く代わりに、戦略のどこが間違っていたのかを質問し、チームに勝利するための新たな計画を示すように求めている。

これは決してハミルトンのわがままさを示すものではなく、2番手では満足できないという彼の闘争心を表していた。

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