【新モデル2種】ランドローバー、新たなエントリーモデル/ディフェンダー高級EV版を計画か

公開 : 2019.12.12 11:50

「L860」を製品化する際のハードル

ランドローバーがL860を製品化する際のハードルは、戦略的な価格を実現するために、開発費と製造コストを減らすことだ。

現在のディスカバリー・スポーツの英国価格は3万1000ポンド(443万円)で、2006年に発売されたフリーランダー2と同等の価格である。

タタ・ハリアー
タタ・ハリアー

新型車のスターティングプライスは2万5000ポンド(357万円)に設定されているため、ランドローバーは大幅にコストを削減する必要がある。

価格はL860に使われるプラットフォームによって、おおよそ決まると見られている。

ランドローバーがD10と呼び、親会社のタタがオメガ・アーキテクチャー(最適化されたモジュラー型のグローバル・アドバンスト・アーキテクチャー)と呼ぶ新しいプラットフォームを使うと予想されている。

オメガ・アーキテクチャーは、2019年初頭に発売された新型タタ・ハリアーに使われている。

これは、先代のレンジローバー・イヴォークやディスカバリー・スポーツで使用されていたD8スチール・プラットフォームを、コストを抑えつつアップデートしたものである。

オメガ・アーキテクチャーはタタ・スティールの技術が使われており、車両の安全性に影響を及ぼすことなくコストを削減することを可能とした。

また、このアーキテクチャーは小型のバッテリーパックを搭載することもでき、プラグインハイブリッドにも対応している。

L860より前にも、タタ・ハリアーと同じ時期にこのプラットフォームを使ったモデルを市場に投入する計画があったと言われている。

鍵をにぎる「オメガ・アーキテクチャー」

2017年1月に、インドの経済紙は、このプロジェクトがランドローバーによってキャンセルされたと報じた。

これは、ブレグジットと、当時アメリカ大統領となったドナルド・トランプによる保護貿易主義の拡大への懸念があったためである。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツとの「食い合い」には注視する必要がある。
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツとの「食い合い」には注視する必要がある。

インドにおける報道によれば、オメガ・アーキテクチャーはタタとランドローバー双方での利用を想定して設計されている。

例えば、ハリアーは車軸式を採用する一方で、L860はFWDおよびAWDの両バージョンにマルチリンク・リヤサスペンションを採用している。

L860にはランドローバー専用のフロント・サスペンション・システムも装備され、フロント・サブフレームはインドで約1万8000ポンド(257万円)で販売されているハリアーよりも格段に洗練されたものになる。

低燃費を追求するために、L860にはプラグインハイブリッドに対応した新しいプラットフォームに、ターボ版とマイルドハイブリッド版の1.5L 3気筒インジニウム・エンジンが搭載され、FWDモデルとして発売されると予想されている。

より強力な4気筒エンジン、AWDモデルも販売するものと思われるが、ランドローバーはディスカバリー・スポーツのユーザーを奪わないようにしなければならないと考えている。

プラグイン版の3気筒仕様は、欧州燃費規制(WLTP)のもと、大型のレンジローバーとディフェンダーの高いCO2排出量をカバーすることが期待されている。

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