【年間約1万人の小学生がベルト無しで死傷】身長150cmまでジュニアシートが必要なワケ

公開 : 2020.01.02 07:20

シートベルトもジュニアシートもせず死傷する小学生、1年で平均約1万人

交通事故総合分析センター(ITARDAイタルダ)が2019年8月に発行したイタルダインフォメーションでは、「乗用車に同乗中の小学生を事故から守る」というテーマで交通事故の分析が行われている。

グラフは、同乗者の年齢層別人口10万人あたりの死傷者数の推移である。

出典:交通事故分析レポート イタルダインフォメーション NO.131 小学生にシートベルトを適切に着用していますか?
出典:交通事故分析レポート イタルダインフォメーション NO.131 小学生にシートベルトを適切に着用していますか?

運転席は含まず、助手席後部座席の同乗者のみの数字だ。6〜12歳はそのほとんどが小学生となるわけだが、18年間で約17万7584名が同乗中の事故で死傷している。

年間平均では約1万人弱といったところ。

どの年齢層でも後席シートベルトが法制化された2008年には死傷者数が大きく減少している。

しかし、全般的に交通事故死傷者数が大きく減少しているのに、6〜12歳では減少幅が他の年齢層と比べると小さいことに要注目だ。

同レポートでは、この理由を以下のように分析している。

1 小学生は後席でのシートベルト非着用が多い

小学生の3割は助手席、7割が後部座席に乗っているが、助手席に座る小学生の27%、後部座席の71%がベルト非着用

2 ベルトを着用していても十分な効果を得ていない場合がある

ベルト着用ありでも、子どもの体に合っていない、不適切な掛け方をしている、着座時の姿勢が悪いなどの理由によって事故の衝撃に対するベルト着用の効果が十分に得られていない。

結果、大人に比べて死亡重症者数全体の減少が遅れている。

欧州の最新安全基準はジュニアシート 身長150cmまで使用できること

日本は、チャイルドシートの安全基準に関して現在はヨーロッパの基準(ECE R44またはR129)を採用している。

国交省が定めるチャイルドシートの製造や素材、衝撃に対する安全基準も、ECE R44やR129をほぼそのまま翻訳した内容となっている。

ジュニアシートを対象とした最新の安全基準では、ジュニアシートはISO FIX固定で背もたれ付き、なおかつ身長150cmまで使えるシートじゃなければ、2022年以降認可を受けることができない。
ジュニアシートを対象とした最新の安全基準では、ジュニアシートはISO FIX固定で背もたれ付き、なおかつ身長150cmまで使えるシートじゃなければ、2022年以降認可を受けることができない。

2012年7月以降、ECE R44を満たしていないチャイルドシートは出荷ができない。(通販サイトなどでは、R44、R129いずれも満たしていない違法チャイルドシートが販売されていることもあるので要注意。アマゾンジャパンではかつて、国交省の指導により中国製の安全性未承認ジュニアシートをリコールしたこともある)

そしてジュニアシートを対象とした最新の安全基準では、ジュニアシートはISO FIX固定で背もたれ付き、なおかつ身長150cmまで使えるシートじゃなければ、2022年以降認可を受けることができない。

また、2017年2月以降は身長125cm(7〜8歳)までが使えるジュニアシートは背もたれ付きであることがマストとなっている。

つまり背もたれのないブースターシートをより安全に使うなら身長125cmを超えてから使用すべき。

小学校高学年ともなると、チャイルドシートなんて恥ずかしいと嫌がる子どもが増えるかもしれないが、身長145~150cmまではジュニアシートを使って大人は子どもを守る必要がある。

車両シートベルトだけでは完全な安全性は得られない。

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