【アルファードとは異なる味つけ】“上級送迎車” トヨタ・グランエースの秘密に迫る

公開 : 2020.02.10 11:42  更新 : 2021.10.13 13:55

上級送迎車なのに、商用車用タイヤを履く理由

次に気になったのが足元だ。グランエースには、高級車らしい堂々としていながら伸びやかな印象のある17インチ・アルミホイールが標準装備されているのだが、そのアルミホイールに組み合わせるタイヤがなんと商用車用(ライトトラック)タイヤなのである。

具体的にはダンロップのSP LT30AとブリヂストンのデュラビスR660Aで、235/60R17というサイズ。このサイズは商用車用タイヤとしてかなり特殊なものであり、トレッドパターンや内部構造、使用する材質などをグランエースに最適化して作られたことは想像に難くない。

ライトトラック用のダンロップSP LT30Aを履くグランエース
ライトトラック用のダンロップSP LT30Aを履くグランエース

トヨタの開発陣に話を聞くと、やはり2740kg(Gグレードは2770kg)という車両重量に加え、多人数乗車が多くなるグランエースだけに、耐荷重性の高い商用車用タイヤをチョイスしたそうだ。もちろん、タイヤの味付けはグランエースのキャラクターに合わせ乗用車用に近いものとなっており、それはタイヤのトレッドパターンをみても一目瞭然だろう。

今後、オーナーカーのグランエースが増えていくにつれ、カスタマイズでインチアップを狙うユーザーも増えてくるだろうが、それに合った商用車用タイヤサイズがないというのが現状。恐らくこれから登場することになるとは思うが、ドレスアップ派のユーザーは注意が必要だろう。

なお、余談ではあるが、ダンロップ、ブリヂストン両メーカーとも、同サイズの商用車用スタッドレス・タイヤをリリースしているので、冬のシーズンでも安心だ。

ハイルーフは? 電動パーキングは? 気になる点を聞いてみた

発表から今年の1月末までの間、“年間”目標販売台数600台のところ、950台ほどの受注を受けたというグランエース。その7割が法人ということだが、東京モーターショー展示時にも多くの一般ユーザーから真剣に購入を考えている旨の問い合わせがあったという。そんな個人ユーザーが気になっているであろう点をいくつか聞いてみた。

まずはモーターショーでも質問があったというハイルーフ仕様について。

6人乗りとなるグランエース・プレミアムの2列目エグゼクティブ・パワーシート
6人乗りとなるグランエース・プレミアムの2列目エグゼクティブ・パワーシート

実はグランエースはあれだけ巨大なボディを持っているが、300系ハイエースのショートボディ標準ルーフがベースとなっている。現状ハイルーフはロングボディのみとなり、そうなると全長が6m弱となってしまうため、日本国内で乗るには現実的ではない、というのが正直なところ。また、ハイルーフになると全高が2mを超えてしまい、ハイルーフ用の立体駐車場にも入れないというのもネックとなりそうだ。

次にパーキングブレーキが手動式である点。

これによりレーダークルーズコントロールに停止保持機能が備わらないのだが、これは送迎車として使われる際に頻繁に使用する部分なだけに信頼性を重視した結果とのこと。足踏み式にしなかったのは、ベース車にMT仕様が用意されるためである。

とはいえ、グランエースは登場したばかりの新型車。今後は市場の声などに耳を傾け、ユーザーが求める形に応えられるように改良を続けていくとのことなので、個人ユーザーも期待して待ちたいところだ。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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