【ホンダの大英断】四輪でも本社・研究所を完全連携体制の報道 なぜホンダは組織改革を急ぐ?

公開 : 2020.02.17 12:02  更新 : 2021.10.09 23:55

朝日新聞デジタルに、「ホンダ、研究所を大幅縮小 四輪開発機能を本社に統合」が掲載されました。この報道を受けて、「なぜ、いま、ホンダが四輪開発機能を統合する必要があるのか?」を桃田健史が考えます。

事実上の「リーク」 発表前に表沙汰

text:Kenji Momota(桃田健史)

朝日新聞社のニュースサイト「朝日新聞デジタル」は2020年2月17日午前5時、「ホンダ、研究所を大幅縮小 四輪開発機能を本社に統合」という記事を掲載した。

記事は「近く発表する」と締めくくられおり、記者発表に関する事前情報がホンダ関係者から漏れたと考えられる。

企業関連では、この手の「事実上のリーク記事」は珍しくない。

今回の報道を受けて、ホンダの正式な記者発表前の段階で、筆者(桃田健史)自身が過去40年間に渡る本田技研工業(以下、本社)と本田技術研究所(以下、研究所)との様々な体験をもとに、「なぜ、いま、ホンダが四輪開発機能を統合する必要があるのか」について私見を述べたい。

まず、驚いたのは、「昨年(2019年)の研究所体制変更はなんだったのか?」である。

2019年7月3日に和光研究所で、筆者を含む一部メディアと八郷隆弘社長を含む本社と研究所の役員を交えた技術情報交換会「ホンダミーティング」が開催された。

通年のホンダミーティングは、栃木研究所で実験車両の走行体験を含む大規模なものだが、昨年は規模を大幅に縮小する異例な形式だった。

その中で、最も大きな話題が「先端技術と効率化を両立させるための、研究開発体制の構築」だった。新しい開発センターがいくつも生まれていた……。

本社・研究所の両輪駆動をさらに進化か?

ホンダミーティング2019で公開された資料では、2018年から2019年にかけて、以下の組織再編が行われたと説明した。

・統括機能本部(戦略/リソース/マネージメントを一元化)
・先進技術研究所(先進リサーチ機能の集約)
・デジタルソルーションセンター(ITの時間軸で推進することでデジタル技術の競争力を上げる)
・オートモービルセンター(旧四輪R&Dセンター、競争力の高い商品開発)
・ライフクリエーションセンター(パワープロダクトとロボティクス領域を融合)
・エアロエンジンセンター(旧HRDサービス)
・HRD Sakura(継続)

また、二輪については、二輪R&Dセンターと本社二輪事業部を統合して、本社に二輪事業本部モノづくりセンターとして一元化している。

つまり、四輪についても二輪と同じく、本社・四輪事業本部モノづくりセンターを作ることになるのだろう。前出の、研究所・統括機能本部が本社側に組み込まれることになる。

朝日新聞デジタルでの報道では、先進技術研究所は存続するような内容だったが、その他の〇〇センターは、たった1年で廃止ということか?

仮にそうなると、研究所の社員にとっては寝耳に水。指揮系統が大きく変わることで、開発中の事案に影響が及ぶ可能性もある。

そんなリスクをとってまで、なぜホンダは組織改革を急ぐのか?

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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