【新車発表に異変?】ネット中継でユーザー参加型に注目集まる ディーラー/メディア、求められる変化

公開 : 2020.02.28 12:17  更新 : 2021.10.09 23:55

ユーザーとメーカーとの関係に変化が

今回のインターネット中継記者会見で、改めて明らかになったのは、自動車メーカーとユーザーが直接つながる時代が本格的に到来しているという点だ。

メーカーとユーザーがいて、その中間にメディアがいる。そうして情報伝達の図式が具現化したのは、今回だけではない。

マツダのロードスター(4代目ND)
マツダのロードスター(4代目ND)

例えば、マツダのロードスター(4代目ND)。2014年9月、日本(幕張メッセ)とアメリカ、スペインで開催されたロードスターファンのイベントで、ワールドプレミアした。

通常の新車発表のように、メディア専用の記者発表会を先行することなく、ファンとメディアが同じ場所で、同じ時間に新車アンヴェールを見た。

ロードスターという、日本車のなかでもファンを最優先するという、ある意味で特異なクルマであることが、メーカーとユーザーがダイレクトに情報共有する場を設けた理由である。

もうひとつの例が、2018年6月26日行った「ザ・コネクテッド・デー」だ。実質的には新型クラウンと新型カローラの発表会である。

トヨタの複合施設メガウェブ(東京都江東区)会場の主役は、ネット応募したユーザーだ。豊田章男社長と友山茂樹副社長がユーザーに直接説明する様子がインターネット中継された。

こうしたメーカーとユーザーとのコネクティビティが今後、さらに進化することは間違いない。

ディーラーとメディア、これからどうなる?

自動車産業界はいま、100年に一度の大変革期と言われて久しい。

独ダイムラーのマーケティング用語CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリング・新サービス、電動化)がメディアで一般名詞化されている。

CASEがもたらす様々な影響の中、もっとも大きなインパクトがあるのが、メーカーとユーザーが直接、情報をやり取りするという観点での、コネクティビティだ。

その一環として、新車発表会のインターネット中継での質疑応答に今回、スポットがあたったのだ。

これまで、メーカーとユーザーは大きく離れていた。クルマ本体で見ると、メーカーは製造したあとディーラーに卸販売し、ディーラーはユーザーに小売り販売してきた。

クルマ関連の情報という側面では、メーカーはメディアに対して、新車発表会や新車症状会を開催し、メディアがユーザーに対して情報を再発信するかたちだ。

こうした、商品ありきのプロダクトアウト型から、ユーザーの需要ありきのマーケットイン型へと、商流の考え方が大きく転換しようとしている。

そうなると、ディーラーもメディアも旧来の方式では今後、継続することが難しくなるのは明らかだ。

今回、偶発的に行われた、無メディア状態でのインターネット中継新車発表。

時代変化の1ページとして歴史に残るかもしれない。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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