【生産体制から納車、車検、名義変更まで】コロナ禍が、クルマ業界に及ぼす影響は?

公開 : 2020.03.27 22:44

新型肺炎で先が見えない日々。クルマ業界にも様々な影響が……。まずは、1つひとつ整理してみましょう。前へ進むときは、必ず来るのです。

中国の自動車生産・販売 2月は平均80%減

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

中国に端を発したコロナ禍は自動車の世界にも大きな影響を与え始めている。具体的にどんな影響があり、また、それに自動車メーカー各社はどう対応しているのか?

世界で最初にコロナ禍が発生した中国は、1月下旬以降、大手自動車メーカーの工場が操業停止となった。工場の一角でマスクを生産する光景をニュースで見て、衝撃を受けた人も多かっただろう。

米ビッグ3の現地工場をはじめ、日系メーカーでも日本国内の拠点で生産調整を開始。今日は新たに、三菱自/スズキも操業停止する工場を発表した。
米ビッグ3の現地工場をはじめ、日系メーカーでも日本国内の拠点で生産調整を開始。今日は新たに、三菱自/スズキも操業停止する工場を発表した。

製造も販売も大きな影響を受けた。その結果、中国における2月の新車販売は前年同月比79.1%減の約31万台。生産はさらに少なく79.8%減の28.5万台となった。

しかし、中国ではすでに2月の終わりからほとんどの自動車メーカーは工場を再開しており、ホンダの武漢工場も3月11日、同じく湖北省にある日産の工場も同13日再開している。もちろん、100%の状態にはまだ時間がかかりそうだが、条件付きであっても再開できたことは喜ばしい。

それと入れ替わるように3月下旬~4月以降の生産停止が始まったのは欧米のメーカーである。ジャガーランドローバーボルボ、デトロイトスリー(フォード・GM・FCA)含め、トヨタ、日産、ホンダの3社もアメリカでの生産停止を3月19日に発表した。現状4月上旬~下旬まで操業停止を予定している工場が多い。

国内では、トヨタとマツダをはじめ、複数のメーカーが生産調整に入る。

トヨタは海外の新車需要が低迷しているため、新型ハリアーが生産される高岡工場をはじめ4月3日より国内5工場7ラインで一時的に生産を停止すると23日に発表。

翌24日にはマツダが広島県と山口県の工場稼働を一時的に停止することを発表した。

納車時期に与える影響は?

生産が滞れば、当然納車も遅れてくる。1月下旬からの中国工場での生産停止によって、国内生産にも少なからず影響は出ている模様。中国で生産される部品は軽量で安価、ローテクな部品が多いと聞くが、1台のクルマには3万点もの部品が使われており、中国製造の部品が1つ足らなくてもクルマを完成させることが困難になる。

操業が再開された中国から必要な部品を空輸して完成させているクルマもあると、NHKのニュースでも報道されていた。

パーキングブレーキの不具合で発売時期が今年2月にずれ込んだ新型ホンダ・フィット。コロナウイルスの影響で一部車種の納車スケジュールに遅れが出ている。
パーキングブレーキの不具合で発売時期が今年2月にずれ込んだ新型ホンダ・フィット。コロナウイルスの影響で一部車種の納車スケジュールに遅れが出ている。

また、自動車本体の納車は問題なくても、メーカー&ディーラーオプションなどの用品パーツが揃わないことも珍しくない。走行自体に関係がないパーツなどは、ひとまず納車をして、中国からの部品が到着次第、後日、オプションパーツを装着するというパターンも増えている。

では納期に具体的にどれくらい影響しているのか?

トヨタ・ヤリスと、ホンダ・フィットの納車状況を調べてみたところ……以下の結果となった(3月26日現在)。

●トヨタ・ヤリス
ガソリン車は1か月程度
ハイブリッド車は4か月程度

●ホンダ・フィット
リュクス以外は2~3か月
リュクスは3~4か月(リュクスが遅れているのは、中国製造のワイヤレス充電器の遅れによるもの)

なお、輸入車に関して言えば、影響が出てくるのはこれから夏に向けてがピークとなりそう。

とくに、移動制限が出されている都市も少なくない欧州、被害が大きなイタリアでは自動車生産どころではない。アルファ・ロメオを扱う販売店に聞いたところ、イタリア本社からは何の通達も出ていないとのこと。

コロナの影響は車両の製造や販売だけではない。

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