【まだ出口は見えず?】アストン マーティンの苦境は続く 注視が必要

公開 : 2020.03.30 09:50

デザイン変更が原因?

だが、7月23日にアストンが最新の販売と財務の状況を公表すると、こうした業績回復への期待も終わりを迎えている。

2019年4月から6月の販売台数は、英国で22%、欧州全域と中東では28%減少しており、全体では25%減となったことで、アストンの株価はわずか1日で26%も下落している。

直近に行われたデザイン変更によって、ヴァンテージの販売は期待を下回ることとなった。
直近に行われたデザイン変更によって、ヴァンテージの販売は期待を下回ることとなった。

さらに7月31日には2019年上期が7800万ポンドの赤字となったことを公表しているが、2018年上期は2100万ポンドの黒字だったのだ。

8月5日には株価は4.54ポンドまで下落し、さらに10月31日には3.99ポンドを記録している。

それでも、12月6日には株価が6.30ポンドへと回復したことで、2019年末に向け投資家の間にはある種の自信が戻って来ていた。

だが、この株価が直近のピークであり、しばらくこの水準への回復は見込めないだろう。

年初にアストンは2019年の業績速報を発表しているが、英国での販売台数が前年の1798台から1429台へと減少するとともに、大陸欧州でも1489台から1074台へとその数を減らしており、収益も9%減となった。

後にアストンCEOのアンディ・パーマーも認めているが、ヴァンテージの販売台数が目標に達しなかったのは、直近に行ったデザイン変更が原因だろうと言うのがアナリストたちの見方だった。

救世主登場

米国での販売台数は増加したものの、それもアストンの苦境を跳ね返すには不十分だったようだ。

アストンの債務が5億6000万ポンド(746億2700万円)から8億7600万ポンド(1167億3800万円)へと急拡大したことで、野心的な新型モデルの投入計画も影響を受けている。

ストロールの投資によって、今年DBXは無事にショールームへとその姿を現している。
ストロールの投資によって、今年DBXは無事にショールームへとその姿を現している。

財務状況が極めて不安定になったことで、DBXといったアストンにとって重要なニューモデルを計画通りに登場させることが難しくなったのだ。

そして、1月31日にある種の救済策が発表されている。

億万長者のローレンス・ストロールが1億8200万ポンド(242億5400万円)でアストン株の16.7%を取得するとともに、3億1800万ポンド(423億7700万円)の新株予約権割当を行うことで、アストンには5億ポンド(666億3100万円)の資金がもたらされることになった。

その結果、DBXが無事ショールームに並ぶとともに、新型ミドエンジンモデルの開発計画も進められている。

アストン会長となったストロール自らの計画によれば、2020年にヴァルキリーが登場する一方、ラピードEはキャンセルされ、ラゴンダのデビューは2025年まで延期されるようだ。

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