【大丈夫? 走行中に加速しない!】トヨタが業界初採用 走行中「アクセルとブレーキ踏み間違い抑制システム」

公開 : 2020.07.27 05:50

ビックデータ判断 思い切った決断

新たに始まった、トヨタのプラスサポートと踏み間違い防止装置システムIIの目的は、「前方に障害物が無い場合の暴走を抑止する」ことだ。

急激にアクセルを踏むのが不自然な状況で、エンジン回転数が上がらないよう制御を入れる。そうした不自然な状況を、どうやって判断するというのか?

従来システムとの比較。
従来システムとの比較。    トヨタ

使うのは、ビックデータだ。

トヨタは2018年6月、「クラウン」と「カローラスポーツ」を皮切りに、データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)というデータ送受信機の運用を始めた。

車両の走行情報を約1分間に1度の割合でクラウドに送信するシステムだ。データの中には、アクセル開度、ブレーキやウインカー操作状況、ハンドルの切り角、さらに道路の勾配などが含まれている。

これらデータから、「アクセル踏み間違い推定アルゴリズム」をトヨタ独自に開発した。

けっして、個人の運転状況を特定して、通常の走行との差を検出するのではない。あくまでも多くのデータから、不自然なアクセル操作を統計的に割り出す仕組みだ。

例えば、坂道やウインカーを出しての車線変更時などでは、アクセルを抑制しない。

さらに、この機能を使うには、前述のように専用のリモートキーが必要だ。同じクルマを、家族の中で使い分けることができる。

他メーカーはどうするのか?

今年2月時点で、トヨタは「アクセル踏み間違い推定アルゴリズムを、他のメーカーとも共有していきたい」と説明している。

むろん、データ自体は各メーカーにとっての貴重な資産であり、かつ運転者のプライバシーにも関わることもあり、すべての共有することは難しいだろう。

だが、制御の考え方を共有することで、事故のリスクが軽減されるにつながる。

皆の目標は、事故のない世界。または、事故が少ない世界なのだから。

完全自動運転になれば、それは実現できるのかもしれない。

とはいえ、市中で様々な技術レベルのクルマが混在する時期がまだ当分の間続くことは確実だ。また、高速道路の一部を自動運転専用ラインにする案や、都会で深夜に自動運転での配送を行う案など様々ある。

そうした中で、「アクセルとブレーキの踏み間違い防止」システムは、高齢ドライバーへの技術的な支援として、また広い世代での起こり得る突発的な体調不良時の対策として、とても現実的な解決手段だと思う。

今後、各社のビックデータの収集と解析が進むことで、システム作動の精度が上がることを期待したい。

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