【企業機密盗んだ疑い】テスラがEVスタートアップのリビアンを提訴

公開 : 2020.07.27 11:20

EV大手のテスラは、同社の元従業員を使って機密情報を入手したとして新興企業のリビアンを提訴。法廷へ連れていくことになりました。リビアンは元テスラ社員を多く雇用しており、転職の際に情報を不正入手した疑いです。

ライバルの秘密を不正入手?

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

テスラは、最近採用された従業員から「テスラの企業秘密、機密情報、専有情報」を入手したとして、ライバルのEVメーカーであるリビアン社を訴えようとしている。

テスラはカリフォルニア州の高等裁判所に提出した訴状の中で、リビアンが「テスラの幹部社員を大量に採用している」とし、「競争上の優位性」を与える可能性のある機密情報を従業員に持ち込むよう「奨励している」としている。

リビアンの電動SUV「R1S」
リビアンの電動SUV「R1S」    リビアン

リビアンは現在、テスタの元従業員を多く採用している。

従業員に対し、転職の際に元雇用主の情報を持ち込むよう促した、という疑惑がかけられているのだ。

企業間での人員の移動が多いアメリカならではのトラブルといえるだろう。

両社ともカリフォルニア州サンノゼ地域に事業拠点を持つEVメーカーである。

リビアンはまだ電動SUVのR1TおよびR1Sを発売していないが、フォード、アマゾンのほか様々な投資グループから多額の投資を受けており、テスラの有力なライバルと目されている。

今月初め、リビアンは約60億ドル(約6400億円)の時価総額を達成したが、ほぼ同時期にテスラは1650億ポンド(約22兆円)に達し、トヨタを上回る世界で最も価値のある自動車メーカーに選ばれた。

テスラは訴状の中で、従業員の採用があくまで「公平に」行われた場合、これは「合法的な競争行為」と見なされる可能性があると述べている。

だが、リビアンはテスラの元従業員に対し、機密情報を持ち込むという機密保持義務に違反したことを「奨励」したという。

さらに3人の元従業員がリビアンと情報を共有していたことを知っていると主張しており、そのうちの2人はテスラの「調査員」から質問を受けたが、その主張を否定しているとのこと。

テスラは、訴訟の目的は「企業秘密、機密情報、専有情報の不正流用を是正すること」だと主張している。損害賠償請求の金額は公表されていない。

同社はリビアンに陪審員裁判を受けるよう求めている。

アマゾンも注目する期待の星に影

リビアンは、このテスラの主張を強く否定している。

ブルームバーグに対する声明では、全従業員が「前の雇用主の知的財産をリビアンのシステムに導入していないこと、また導入する予定がないこと」を確認する必要があると述べている。

リビアンの創業者でありCEOでもある、R.J.スカ―リンジ
リビアンの創業者でありCEOでもある、R.J.スカ―リンジ    リビアン

「リビアンは、高いパフォーマンスと使命感を持ったチームで構成されており、当社のビジネスモデルと技術は、長年のエンジニアリング、設計、戦略開発に基づいています」

「そのためには、技術分野と自動車分野にまたがる何千人もの従業員の貢献とノウハウが必要です」

リビアンのR1TおよびR1Sは、2020年半ばに生産を開始する予定だ。

両モデルは最大643kmの航続距離を誇り、オンロードおよびオフロードで優れた性能を発揮するとして期待されている。

昨年、インターネットショッピング大手のアマゾンは、10万台の電動バンをリビアンに発注した。

近い将来、リビアンの電動バンがアマゾンの商品を自宅へ届けに来るかもしれない。

期待を集めるスタートアップだけに、今回の訴訟は大きな障害となりそうだ。

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