【まるでバブル】12年落ちのシビック限定車が1300万円超で落札! なぜ4月以降、国産スポーツカーの異常高値落札が続くのか

公開 : 2020.08.05 10:50  更新 : 2022.03.25 18:51

高値落札の国産スポーツ、どこに行く

さて、これらの高値落札された国産スポーツカーは、どこにいくのだろうか?そもそも、なぜこんなに高い値段で落札されているのか?

この傾向は今年4月頃から顕著になったという。

香港に近いマカオを走るホンダ・シビック・タイプR。
香港に近いマカオを走るホンダシビック・タイプR。    加藤博人

事情に詳しい業者に聞いたところ、

「日本人はたとえ貴重な限定車でも12年も前のクルマに1000万円以上出さない傾向にあります」

「アジアですね。特に香港が今、大変なことになっています」と、意外な答えが返って来た。

その業者いわく、

「赤のFD2無限シビックは1年前に2万km無事故のクルマが560万円で取引されていました。それでも高いと思ったのに……」

「シビックやインプレッサの落札価格はとにかく半年~1年前に比べると2倍以上になっています」

「香港人の買いだと思われます。特に、4月以降高値更新が続いていますコロナの真っ最中、他の中古車が値段を切り下げる中、香港人の食指が動いたクルマは青天井になっていますよ」

香港は確かに日本車の人気が高い。

筆者も年に1〜2回、香港を訪れているが、視界に入ってくるクルマの9割以上が日本車と言ってもいい。

アルファードヴェルファイアが特に人気で、香港のタクシーよりも多い台数が香港で販売されている。

しかし、MUGEN RRやタイプR、WRX STIなどの国産スポーツカーがここまで高値で取引されていたとは知らなかった。

さらに香港の業者は意外なことを教えてくれた。

「香港の中国化」が関わっている?

「海外、アジアのお金持ちはスケールが違いますからね(笑)」(香港の業者)

「とくに今年の春頃から香港と関わる業者が、国産スポーツカー(特に限定車)をまさに金に糸目をつけない状況で買いまくっています」

アジア全般で人気のシビック。シンガポールでのオーナーミーティングの様子。
アジア全般で人気のシビック。シンガポールでのオーナーミーティングの様子。    Julian Edison Lim

「実はこれ、『香港の中国化』にも関係する話なんです」

「中国はご存じのとおり自国の産業保護のため中古車の輸入を厳しく取り締まっています。(中古車輸入は死刑に相当する罪)」

「一方、香港は現在、中古車輸入OKです。香港の人はいまこう考えているそうです。『中国化が進むと、日本の希少なモデルの中古車を買えなくなるのではないか? 中古車輸入が禁止されるのではないか?』と」

「それで買い急いでいるようですね。日本の業者オークションで異常なまでの高値で取引されているクルマはかなりの割合で香港人の買いだそうです」

「香港人は限定車が大好き。BNR34等のスカイラインも買い急いでいると思われます」

なんと! 確かに、この春頃から「香港の中国化」が加速している。読者の皆様もニュースなどでご覧になったことがあるだろう。

現在のところ中古車輸入OKの香港も、やがて中国のように厳しく禁じられるのではないか……。だったら今のうちに、とにかく買えるだけの日本製スポーツカーを買いまくる!

このような事情で、さらに日本とはけた違いのアジアのクルマ好きなお金持ちたちが、まさに金に糸目をつけずに取引をしている可能性が高い。

ちなみに、落札価格1323万円のクルマが実際に香港で中古車として販売される際には、日本円にして2000万円を超える価格が付けられるという。

日本では中古のフェラーリランボルギーニが買える値段で驚くが、香港、アジアでは日本製スポーツカー=HONDAというイメージが根強い。

値段はさておき、買えるうちに買っておくという動きは今後も加速しそうだ。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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