【最近ぜんぜん見ない?】ワゴン車、なぜ絶滅危惧 理由はSUV以外にも ただし魅力は継続 豊かな可能性も

公開 : 2020.09.01 07:40  更新 : 2021.10.22 10:15

新型スバル・レヴォーグが発表されて話題になっています。しかし、ワゴン全体を見渡すと、大幅に減っています。軽ハイト/ミニバン隆盛がワゴンに与えた影響を考えます。同時にワゴンの豊かな可能性にも注目します。

ワゴン市場は大幅に縮小している

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

2020年8月20日に、新型スバルレヴォーグの先行予約が開始された。

レヴォーグはミドルサイズのワゴン(正確にはステーションワゴン)で、クルマ好きのユーザーを中心に人気が高い。

先行予約が開始された新型スバル・レヴォーグ。
先行予約が開始された新型スバル・レヴォーグ。    スバル

ただしワゴンのマーケットを見ると、車種数が大幅に減っているのが現状だ。

今ではスバル・レヴォーグ、トヨタカローラ・ツーリング&継続生産型のフィールダー、マツダ6ワゴン、ホンダ・シャトル程度しか用意されない。

以前のワゴンは相応に充実したカテゴリーで、2000年頃にはトヨタ・クラウン・ワゴン/マークIIクオリス/カルディナ、日産ステージア/プリメーラワゴン/アベニール/ウイングロード、ホンダ・アコード・ワゴン/オルティアなどがあった。

これらの車種が今ではすべて廃止されている。

車種の数が減れば、売れ行きも当然に下がる。

2000年代には、国内で販売される乗用車の5-7%をワゴンが占めたが、今は2-3%だ。もともとワゴンは軽自動車やミニバンのように好調に売れるカテゴリーではなかったが、近年は車種の減少によって売れ行きをさらに下げている。

それにしても、なぜここまでワゴンはマイナーな存在になったのか。

背の高い荷物を積むのには適さない

ワゴンの車種数が減り始めたのは2005〜2010年頃だ。アベニールは2005年、ステージアやカルディナは2007年に廃止されている。

廃止の理由は、ワゴンというカテゴリーの人気が全体的に下がったからだ。ワゴンの売れ行きが伸び悩んだ背景には、主に荷室の機能があった。

ワゴンの基本的なボディスタイルは、セダンのルーフを後方へ長く伸ばし、トランクスペースの部分まで室内空間に取り込んだものだ。

後方視界が悪化するほど荷物を積まない限り、ワゴンの積載容量はセダンと大差ない。

すべてのワゴンがセダンをベースに開発されたわけではないが、居住性や積載性はセダンに近く、自転車のような背の高い荷物を積むのには適さない。

ミニバン隆盛と軽自動車の新規格

そして2000年代に入るとミニバンの主要ラインナップが整った。2008年にはアルファードの姉妹車としてヴェルファイアも加わり、高価格車ながら好調に売れている。

セレナヴォクシー、フリードなども2000年代に人気を高めた。

トヨタ・アルファードの広い2列目シート。
トヨタ・アルファードの広い2列目シート。    神村 聖

また1998年10月には軽自動車が今と同じ規格に改訂され、16車種の新型軽乗用車がほぼ同時期に発売された。

これを切っ掛けに軽自動車は売れ行きを伸ばし、2003年には、全高を1700mm以上に設定して車内を大幅に広げた初代タントも発売されている。これを受けて背の高い軽自動車が急増した。

コンパクトカーも1990年代の終盤から、キューブ、bB、ラクティス、ポルテなど、天井を高めて車内を広げた車種が続々と登場してきた。

以上のように、抜本的に車内を広げたミニバン、背が高くて割安なコンパクトカーや軽自動車が増えた結果、国内のワゴンはニーズを奪われて車種数も減った。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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