【運転の楽しさは随一】 オースチン/MG/ローバー・メトロ 英国版クラシック・ガイド

公開 : 2020.09.20 07:20  更新 : 2020.12.08 08:38

初代ミニの代替わりを目指した、 オースチン/ローバー・メトロ。目的は達成できませんでしたが、クラシックモデルとなりつつある今、徐々に価値が見直されています。部品供給のある今が、チャンスだといえるでしょう。

ミニの後継モデルとして登場したメトロ

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:Will Williams(ウィル・ウイリアムズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
あまりに優れた先代のために、販売が伸びなかったメトロ。1970年代は親会社のブリティッシュ・レイランド(BL)社はストライキ続き。良いクルマだったのに、イメージは奮わなかった。

1980年のある雑誌には、「イギリス車であることを誇りに思える」という見出しが載った。その15年後、メトロ111Siを試乗したAUTOCARは、「フォルクスワーゲン・ポロのライバル・モデルが夢見るような、ドライビングの楽しさがある」と評価している。

オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)
オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)

そんなメトロは、強い逆風の中に生まれた。英国市場では、国産車より輸入車の方が高いシェアを獲得していた。

スタイリングは、時代を感じさせない。快適性と実用性、操縦性や走行性能は、素晴らしいバランスに仕上がっていた。新しいエンジンとトランスミッションを採用し、控えめなフェイスリフトを重ね、1998年までの寿命を支えた。

1997年のユーロNCAPによる衝突テストでは、設計が古く得点が低迷。メトロに終止符を打つきっかけとなった。BMWが親会社となったローバー社は、販売は堅調だったものの、製造終了を決めた。

モデルライフを通じて、ハンドリングは高い評価を保った。静かで洗練され、風切り音も小さい。車内は広くはなく、身長の高いドライバーは悩まされた。

サスペンションは、アレックス・モールトンによるハイドロガス式を採用。素晴らしい乗り心地を叶えている。MGFの専門ショップなら、ハイドラガスの補充は今でも可能だ。

エンジンはとても堅牢 価格は高騰気味

当時斬新だったのが、40:60の分割で式折り畳みが可能だったリアシート。現在では当たり前の機能だといえる。

ブレーキパッドとフルードの警告灯は、1980年では珍しい装備だった。ランフラットタイヤも選べ、電動式のテールゲートも付けられた。パワーウインドウやクルーズコントロール、トリップコンピューター、エアコンなど、オプションも多彩だった。

オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)
オースチン/MG/ローバー・メトロ(1980年〜1989年/英国仕様)

定期点検のインターバルは1万9000kmと長く、クラスをリード。運転席からの視界は、前後左右、優れている点も特長だ。

初代ミニ譲りとなる、A+エンジンとトランスミッションは、定期的なオイル交換さえしていれば、極めて信頼性が高い。仮に故障しても、安価に修理できる。

途中でKシリーズ・エンジンへ交代。こちらも活発なユニットで、定期的なメンテナスで高い信頼性を保てる。トランスミッションは多くが5速MTだった。

1980年代から1990年代の普通の乗用車だから、今ではほとんどが廃車になっている。ボディの錆が、理由の1つ。おかげで近年の残存車両は、価格が高騰気味になっている。

部品は、ミニの専門ショップで入手可能なことが多い。しかしボディトリムは、すでに見つけるのが難しいようだ。

AUTOCARで注目したいのが、MGメトロ・ターボとローバー・メトロGTa、GTiなど。英国には、カブリオレも存在している。特に、初期型は需要が高い。

ローバーの多くのモデルと同様、高齢者が何十年も大切に乗っている傾向も高く、素のメトロも良い状態で英国では見つかる。ガレージに保管され、走行距離は短めだ。

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