劇画のクラシック、「ゴルゴ13」の50年……ゴルゴ展にAUTOCARが突撃

2019.01.10

公開された門外不出の武器庫……ゴルゴの愛銃の謎が解決!

今回の展覧会では「ゴルゴ13」の50年の軌跡を多面的に検証できる展示が行われたが、中でも一部の来場者を惹きつけたのが、作画の参考資料としてさいとう・プロダクションの “武器庫” に保管、門外不出といわれた多くの銃器類だろう。本展覧会で初公開となったこれらの銃器。もちろんながら実銃ではなく、市販のモデルガンなどをベースに、スタッフ自らが劇中での仕様にモデファイを加えたりフルスクラッチで製作したモノである。なお、ここからしばらく話が極度にマニアックになるので、銃器に興味がない、あるいは嫌悪感を抱くという方は次ページまで読み飛ばしていただきたい。

これらの中で最も来場者の注目を受けたのはやはりゴルゴの愛用する “アーマライト” ことM16ライフルだろう。ベトナム戦争でアメリカ軍が使用したことにより、日本でもその存在が大きく知られることとなった本銃であるが、その未来的なフォルムはアルミと強化プラスティックで構成され、全体が艶消しの黒で仕上げられていたことから、旧来の木と鉄でできたライフルに対して、“ブラック・ライフル” とも呼ばれた先進的なアサルト・ライフルであった。

’68年の時点で、日本ではまだ情報の少なかったこの最新兵器を劇画の主人公に持たせたということだけでも、充分にセンセーショナルな話なのだが、日本のガンマニアたちにとって長年のあいだ、ケンケンゴウゴウと議論されてきたのが、ゴルゴが愛用のM16に施した改造であった。ゴルゴのM16は長距離狙撃に対応するために、高倍率のスコープ(望遠照準器)を装着しているのだが、そのためにM16のデザイン上のチャームポイントともいえる機関部上のキャリングハンドル(運搬用取手)を大胆にも切り飛ばしてあったのだ。当時、実銃でこのような改造が施されていたという情報はなく、その独特な仕様は長年のあいだ謎であった。

今回の展覧会では、その仕様やディテールも時代により変遷していたということが示され、大まかには5タイプに分かれているという事実が判明したのだが、作画の参考用に製作された模型を目の前にすると、どういった意図でどのような改造が施されていたかが一目瞭然で、長年の謎がついに解決したといってもよかった。ちなみにAUTOCARサイトウは興奮のあまり、展示を指さしながら「そうだったんだ!」と何度もうなずいていた。

余談ではあるがゴルゴがM16に施した、一見して荒唐無稽とも思われたモデファイだが、後の時代になって何の偶然か実銃の改良でソックリなディテールが取り入れられた。これによりゴルゴのプロとしての確かさ(というかさいとう・たかをの先見の明か?)が明らかとなって、マニアたちを驚かせたのだ。ちなみに現在アメリカ軍が使用するM16A4ライフルおよびM4カービンはキャリングハンドルが脱着式で機関部上面はゴルゴ仕様のようなフラットな形状になっており、スコープなどが装着できる多目的マウントベースになっている。

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