キャデラックCTS 第2回

公開 : 2015.02.28 20:50  更新 : 2017.05.22 13:55

2月11日
今回はキャデラックCTSプレミアムで志賀高原で開催される試乗会に赴く。片道350kmほどの距離で、一般道から高速道路、そして雪道のワインディングまでを走るというCTSのテストとして最適な行程となる。

早朝に出発したので高速道路は空いており、ペースはついつい速くなってしまう。CTSのパワーユニットは276psを発揮する2ℓ直列4気筒ターボだが、運転していて気付くのはとにかくパワー感に溢れているということ。直列4気筒エンジン特有の振動や音はほとんど感じられない。リッターあたり138psにもなるハイチューンユニットであるにも拘らず、低回転からスムーズにターボが効くので扱いにくさはなく、その代わりにスピードがキレイに伸びる。リアルタイムで確認できる平均燃費はどんなに飛ばして走っても10km/ℓを下回ることがなかった。

高速道路の後半はアダプティブクルーズコントロールで安楽なクルージングを楽しむことができた。上信越自動車道を信州中野インターで降り、しばらく走ると山道に入り、あたりは雪景色に変わる。センターコンソールで操作するドライバーモードコントロールは標準では “ツーリング・モード” になっているが、それ以外に “スポーツ” と “雪/氷” という3モードから選ぶことができる。もちろんマグネティックライドコントロールと連動していることは言うまでもないだろう。気温計が氷点下を指したところで “雪/氷” を選ぶ。

最初はアスファルトのところどころに残雪があるような路面コンディションだったので、少しだけペースを落とし慎重に走る。片側の前後輪が圧雪の上に乗ってしまってもほとんど挙動は乱れない。コーナーの立ち上がりで早めにスロットルを開けると一瞬フロントタイヤが空転しそうになるが、その瞬間にスタビリトラック(横滑り防止装置)が作動するので、安定状態は崩れない。

路面全体が圧雪で覆われるようになると、より安定したスノードライブを楽しむことができた。スロットルがリニアなので、慣れてくるとスタビリトラックが介入する寸前を察知してドライブを楽しめるようになる。高速道路を走らせていた時にも感じていたのだが、CTSはペースを上げれば上げるほど、想像以上にスポーティな一面を見せてくれるのだ。

志賀高原では、誰もいない広い駐車場で少しだけ限界性能を試してみたのだが、AWDとスタビリトラック、スタッドレス・タイヤのコンビは強力で、容易にリアタイヤを振り出すことはできない。スタビリトラックをオフにしてもまだ4駆の安定性が強いが、ステアリングを切ったままスロットルを開け続けるとようやくテールを振りだすことガできた。すぐにステアリングを直進付近に戻すと、そこからはスロットル操作だけで繊細なコントロールができるようになる。1770kgという車重をまったく感じさせない動きに驚かされた。

キャデラックCTSは走り込むほどに新たな発見があるクルマだった。ゆったりとしたペースで走ればラグジュアリーだが、ひとたびツイスティな山道に入るとスポーティな面が前面に押し出される。CTSの最大の特徴はその多様性にあるのだと強く思った。

text:吉田拓生 / モーター・ジャーナリスト photo:高橋学 movie:前田恵介

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