マツダ・ロードスター 玄人好みの商品改良でどう変わった? NDのモデルライフ9年目へ(1)

公開 : 2024.02.10 20:25

911と同じ? 減速側強めの新LSD

S以外のMTモデルに標準装備されるLSDはこれまでの円錐クラッチタイプから新開発のアシンメトリックLSDに変更されている。アシンメトリック=非対称というネーミングでも想像がつくように加速側と減速側で異なるロック率を特徴とする。

この手のLSDは珍しくないが、通常は加速側を強め、減速側は回頭性を考えて弱めにセットするのが常識といえる。だがLSDの製作を手掛けるGKNとマツダが共同開発した新型のLSDは減速側のロック率の方が高められているという特徴がある。

改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記
改良を受けたマツダ・ロードスター試乗記

これは回頭性こそ高いが減速旋回時にリアが持ち上がって不安定になりやすいというロードスターのハンドリング特性を補完するようなセッティングといえる。このような減速側強めの特殊なLSDセッティングは、例えば空冷時代のポルシェ911が採用していたことでもわかる通り、リアのスタビリティ確保を最優先したものといえる。

試乗前の説明ではニュルブルクリンクでテストしたLSDの効きのデータを見せてもらうことができた。イニシャルトルクをコイルスプリングによって担保する旧型のLSDは急激にパワーが掛かった際に差動制限が甘くなっている領域が多く見受けられたが、新型は全域で効きが安定していたのである。

果たして今回の試乗ステージである箱根のワインディングでも新型LSDの効果は体感できるのだろうか? 

後半へ続く。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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