ロールス・ロイス・スペクター 詳細データテスト 品格ある走り 新時代ロールス 革新的EVではない

公開 : 2024.03.02 20:25  更新 : 2024.03.08 18:29

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆

スペクターが他を圧倒するのはこのジャンルだ。まず、キャビンの静粛性を世界トップクラス。二重構造のフロアと700kgのバッテリーは、ロードノイズをうまく制している。風切り音もまた、みごとに抑え込んでいる。

80km/h巡航での室内騒音は、たったの55dBAで、同じようなコンディションで2018年に計測したファントムVIIIは56dBAだった。メルセデスAMG EQS53は59dBAだったが、これでも最新EVの中ではかなり静かなほうだ。ちなみに、2021年のゴーストは同じく55dBAをマークしている。

目を三角にして走るより、優雅なドライブを楽しみたいタイプのクーペ。標準仕様の21インチホイールなら、さらに静寂な移動を体験できそうだ。
目を三角にして走るより、優雅なドライブを楽しみたいタイプのクーペ。標準仕様の21インチホイールなら、さらに静寂な移動を体験できそうだ。    MAX EDLESTON

113km/h時に、ゴーストの58dBAに対して61dBAとやや遅れをとるが。これはオプションの23インチホイールによるところもありそうだ。ともかく、グッドウッドではエンスージアズムよりも、リファインメントの高い水準をこのクルマで示したかったにちがいない。

ふんわりしたプライマリーライドの構築には、かなり手を焼いただろう。しかし、その努力は無駄じゃなかった。高速道路や速度域の高いA級道路ではホバリングしているかのよう。うそみたいに路面を感じさせず、クルージングを楽しませてくれる。

低速域で悪路では、この妙技に翳りが出るが、これは23インチホイールの重量が影響している。わずかながら、路面からの衝撃を大きくしているのだ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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