「ルビコン」と「サハラ」は別用途 【ジープ新型ラングラーを早速試乗】 その違いとは?

公開 : 2024.05.21 17:45

ジープが発表した新型ラングラーに早速試乗します。風潮に逆行する「車輛価格の引き下げ」が話題になっており、今回のお相手は「ルビコン」と「サハラ」。価格の上下ではなく「用途が違う」と吉田拓生は強調します。

価格以外にも注目、ラングラーの大幅改良

現代ジープのアイコンであり、長年高い人気をキープし続けているラングラー。今回、現行型になって5年目で初のマイナーチェンジが行われ、再登場している。

今回のマイチェンでは、今どきの風潮に逆行する「車輛価格の引き下げ」が大きなトピックとなっているが、各部のブラッシュアップに関しても抜かりはない。

ジープ新型ラングラー試乗
ジープ新型ラングラー試乗

最もわかりやすいのはクルマの表情を決めるグリルで、ジープの伝統である7スロットを継承しつつ上下の幅が薄くなり、ヘッドランプや7つのグリル孔を縁取るなどしてモダンで親しみやすい印象へと変わっている。

新しい親しみやすさは室内にも見ることができる。ダッシュパネル中央に埋め込まれていた8.4インチのモニターが、フローティング形状の12.3インチに刷新されたのである。

新しい横長モニターの周囲には角が若干丸みを帯びた縁取りがされており、そこが新型グリルのイメージと符合している。またモニターとともにインフォテインメントシステムも刷新されUconnect5となっており、最新のチップによる高速化を実現している。

新型ラングラーのラインナップで話題なのは800万円を切るエントリーモデルとしてアンリミテッド・スポーツ(799万円)が復活したこと。

だが今回は本格クロスカントリーモデルのアンリミテッド・ルビコン(889万円)/ミドルグレードのアンリミテッド・サハラ(839万円)を試乗することができた。

速く扱いやすくなったインフォテインメント

価格的にはミドルグレードとなるサハラだが、本格クロカンのルビコンと比べた場合にはどちらが上とか下ではなく「用途が違う」と表現するのが正しい。

もちろんAWDの駆動系は一般的なSUVのそれよりはるかに本格的なセレクトラックフルタイム4×4なのだが、それでもルビコンが備えるロックトラックフルタイム4×4よりはライトな感覚。アスファルトの上を走ることがほとんどというオーナーがチョイスすべきはサハラなのである。

ジープ新型ラングラー試乗
ジープ新型ラングラー試乗

走りはじめてすぐわかるルビコンとの違いはタイヤだ。試乗車は18インチのBSデューラーH/Tを装着。SUV用のオールシーズンタイヤではあるが、ルビコンが履く「これぞオフロード!」という17インチのBFグッドリッジ・マッドテレインT/Aとはステアリングに伝わってくるザラつき感にけっこうな違いがある。

ちなみにアンリミテッド・スポーツは17インチのオールテレインなので、サハラとスポーツでも走行フィールには差があるはずだ。

一方実車に触れてみて最も印象的だったのはモニターとインフォテインメントシステムの進化だった。以前パネルはタッチ式だったが、そもそも画面が小さく必要最低限の機能が詰め込まれている感覚で、積極的に扱いたくなるような設えにはなっていなかった。

現行のラングラーは賢くなったセンターデフによる滑らかな走りを特徴としている。今回はそこにインフォテインメントのアップデート加わったことで走りと扱いやすさのバランスが取れた格好になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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