ルノー・ルーテシア・ゼン 0.9ℓ

公開 : 2015.01.03 23:50  更新 : 2022.12.12 21:30

■どんなクルマ?

ルノー・ファン待望の0.9ℓ3気筒ターボ+5MTを搭載したルーテシアのベーシック・モデル。ダウン・サイジングの3シリンダー過給機付きという技術的興味に加えて、やっぱりマニュアルで乗りたいというマニア心をくすぐる。

2013年に国内発売となった現行ルーテシアは、ルノー・スポールを別格とすると、これまでは1.2ℓ直4直噴ターボ+6段デュアルクラッチのみだった。装備の違いで、GT、インテンス、ゼンと、グレードが3種類あることは変わらない。0.9ℓは必要十分な装備のゼンに追加される。価格は、208万円というサンタさんもビックリの戦略価格で、221.1万円のゼン1.2より13万円ほど安い。プジョー208の最廉価モデル、209万円を大いに意識しての値付けで、プジョー的にはこしゃくな感じである。

本国には自然吸気版もある3気筒は、12年秋のパリ・サロンで発表となった4代目クリオこと日本名ルーテシアのメカニズム面での注目ポイントだった。ご存知のように、同年春に登場したプジョー208も3気筒を採用していたからだ。

「TCe90」と呼ばれる今回初上陸の3気筒ターボ・ユニットは、最高出力90psを5250rpmで、最大トルク13.8kg-mを2500rpmで発生する。数値は控えめながら、1.4ℓ並みのトルクを誇る、あくまで実用性重視のフランスの典型的エンジンであることが類推される。72.2×73.1㎜のほぼスクウェアなボア×ストロークが1.2ℓ4気筒と同一なのは、シリンダーブロックを共用しているからだ。モジュラー風ながら、3気筒は直噴ではなくポート噴射で、VVT(可変バルブ・タイミング)は吸気側のみ、となる。

センターコンソールに設けられた「エコ・モード」ボタンを押すと、12%燃費をセーブすることができる。トルクが制限され、アクセル・マッピングが代わり、エアコンの効きがダルになって、シフト・アップを促すシフト・インディケーターが2000rpm前後で早くも点灯する。エンジン側とドライバー側、トータル制御で省燃費を、という合理的な考え方の産物なのだ。欧州モード燃費は、1.2が20㎞/ℓ、0.9が22.2㎞/ℓで、0.9は11%改善していることになる。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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