英国版、お得なクルマ決定戦

公開 : 2015.01.14 23:50  更新 : 2017.05.29 19:51

検証2:日常使用における印象

ダチア・ローガンとともに生活するならば、最上級グレードでさえも安っぽく、同時にもっと多くの装備品や、さらなる高級感を常に求めることになるだろう。これまでも他の様々な記事で書いてきたとおり、安く済ませようとするがゆえの ’物足りなさ’ に常に悩むことになる。

最上級グレードであるにもかかわらず、電動リア・ウインドウ、スペア・ホイール、センター・アームレスト、アラームしかついていないのだから、それなりの覚悟を必要とすることは明らかだ。

たっぷりと着飾った内装だという割に、よく言ってシンプル、悪く言えば殺風景な印象は拭えない。ただし全く褒められないものではなく、ローガンの場合、£30,000(538万円)のアウディA4アバントを凌ぐ荷室容量に、もしかすると大いに助けられる向きもあるかもしれない。

荷室を覆うカバーや床下の仕切り材の安っぽさは、ほかに類を見ないほどのレベルではあるけれど、ボルボV70の3分の1の価格でこれほどの荷室容量を手にできることを考えればまったく気にならない。一部の人にとってはありがたい存在となるだろう。ただし総合的に見れば、コストとスペースのために、質感をはじめとするその他の要素を疎かにしていると見ることもできる。

せっかくお金を払ってクルマを買うのなら、魅力的で、喜びに満ち、たのしい方がいいと思う向きがAUTOCARの読者のなかには少なくないはずで、そんな希望を叶えてくれる確率は、ローガンよりもMG 3の方が高い。

MGのキャビンはダチアに比べて、よりモダンかつカラフルな素材が多い。また助手席や2列目のシートは、スコダ・ファビアやシトロエンC4カクタスよりも余裕がある。外観もきちんと現代のファッションを参考にしていることが伺えるし、アングルの一部はハンサムでさえある。雰囲気とルックスの調和も見事である。

テスト車両に組み合わされるレザー・シートは、些か艶がありすぎるし、見た目にも高級感がないけれど、快適性はなかなかのもの。CD/ラジオは1880年代に販売されたオースチン・メトロからスワップされたのかと思うほど時代遅れなルックスではあるものの、ブルートゥース・メディア・ストリーミングまでこなしてしまうのだから大したものだ。

これに加えて、クルーズ・コントロールやデイタイム・ランニング・ライト、エアコン、DABラジオ、16インチ・ホイール、電動ウインドウ(4面)などすべてが含まれていながら£10,000(180万円)を切っているのだから、この記事に打ってつけなモデルだといえる。

カクタスもMG 3に負けないくらい装備が整っているけれど、こちらを買うには£15,000(270万円)を必要とする。内装の細やかな部分まで、C4カクタス独自のキャラクターを引き立たせているだけでなく、日常的に視界に入ったり触れたりしても違和感のない素材でそれらを実現しているところに好感がもてる。

グローブボックスやドアに設えられる小物入れのサイズも使いやすく、シートの横幅も大きく、座っていて心地よい。荷室が大きいのも良心的だ。大きくストロークするサスペンションのおかげで、大きめの隆起を乗りこえた際も、からだを大きく上限に揺さぶられることはない。

一方、車内後方に目を向ければ、リア・シートのスペースが小さく、天地方向の余裕も他のライバルに及ばないことがわかる。レッグルームも同様だ。流行に敏感で、人とどこか違ったクルマを求める向きには、多少の欠点も受け入れられるかもしれないけれど、ひとたびクロスオーバーの常識的な観点からみると、欠けている部分は見過ごせない。

根強いファンをもつことができる一方、広く世に行きわたることがないであろうC4カクタスに対し、スコダ・ファビアやヒュンダイi20は、奇を衒わないゆえに多くの人に受け入れられやすいはずだ。用いる素材のひとつひとつが、そう感じさせてくれる。

キャビンを見渡すと、かなりの注意を払ってレイアウトやルックスを吟味していることがわかる。タッチスクリーン・マルチメディアを含むあらゆる要素が洗練されており、2台ともにクラスを超えた高級感がある。

特にヒュンダイi20の用いるプラスティック・パーツの質感は高い。スコダ同様にどこを触っても硬質な印象があるものの、目に見える範囲の処理がとてもうまいのだ。薄いブルーの混ざった灰色の表面に感動できるかどうかは別にして、他にもよりスタイリッシュな組み合わせを選べるのはうれしい。

また、主要ライバルに比べて2列目のシート・スペースが豊富であることも加点ポイント。荷室の広さもまずまずで使い勝手がいい。これに加えて活き活きとしたハンドリングも、バリューを高める揺るぎない要素となっている。

さらに現実的な部分をみていくと、ミドル-スペックのi20には、ステアリング・ホイール・オーディオ・コントロールや電動リア・ウインドウ、スペア・ホイール、クルーズ・コントロール、パーキング・センサーなど欲しいとおもえる装備はすべて無料でついている。

ちなみにスコダ・ファビアでは、これらの装備はそれぞれ追加費用が必要になる。ヒュンダイi20の場合は、車線逸脱警報システムや、保温/保冷機能付きグローブボックス、5年保証まで付いてくる。

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