確かに4気筒より好燃費! マツダCX-60 E-スカイアクティブDへ試乗 ロードスターへ通じるDNA

公開 : 2025.02.12 19:05

軽負荷時で4気筒より好燃費が目指された、CX-60の3.3L 6気筒ディーゼル X3から乗り換えても見劣りしない車内 人馬一体の運転の楽しさ 好印象の足を引っ張る乗り心地 英編集部が評価

軽負荷時で4気筒より燃費の良い6気筒

欧州では、ファミリーカーのディーゼルエンジンは風前の灯。例えばBMWは、dを冠するモデルの多くを廃盤にした。しかし、マツダは独自の哲学のもと、6気筒ディーゼルを積んだCX-60の新開発へ踏み切った。

また同社は、10年ほど前からスタイリングやインテリアの質感向上に努めてきた。上級ブランド化を目指して。それは実を結んでおり、筆者は正しいベクトルだと考える。これを確実なものとするには、相応のメカニズムが必要にもなる。

マツダCX-60 E-スカイアクティブD 3.3 RWD エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)
マツダCX-60 E-スカイアクティブD 3.3 RWD エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)

果たして、「持続可能なモビリティに対する、マルチソリューション・アプローチ」として、長距離走行を頻繁にするユーザー向けに、トルクの太いパワートレインが用意された。目指されたのは、軽負荷時で4気筒より燃費の良い6気筒だ。

エンジンのピストンヘッドの燃焼室は半分にした卵形に近く、空間制御予混合燃焼(DCPCI)技術を採用。空気と軽油をシリンダー流入前に部分的に混合させ、高効率と環境性能を追求したという。熱効率は40%に達する。

CX-60が基礎骨格とするのは、エンジンを縦置きする新しい後輪駆動アーキテクチャ。四輪駆動も選択できる。今回はベーシックなエクスクルーシブ・ライン・グレードの、3.3L マイルド・ハイブリッド・ディーゼルへ試乗した。

英国仕様の後輪駆動では、最高出力は199ps。四輪駆動は254psとなる。トランスミッションは、プラグイン・ハイブリッド版でも共通の8速オートマティック。フライホイールの直後に、17psの電気モーターが組まれている。

BMW X3から乗り換えても見劣りしない車内

スタイリングは、最近のマツダらしく上品で端正。6気筒エンジンを縦置きするため、ボンネットが長い。

ブラックのままのプラスティック製ボディトリムが、大きなボディを視覚的に分割し、ボディ色で塗装される上級グレードより引き締まって見える。ただし、4本出し風のマフラーカッターは、フェイクだ。

マツダCX-60 E-スカイアクティブD 3.3 RWD エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)
マツダCX-60 E-スカイアクティブD 3.3 RWD エクスクルーシブ・ライン(英国仕様)

エクスクルーシブ・ラインの内装は、タクミ・グレードでは本皮の部分が、合成皮革へ置き換えられる。だが、BMW X3から乗り換えても、見劣りすることはないだろう。

実際に押せるハードスイッチが各所に残り、車載機能の操作性は抜群。メーター用モニターへ表示できる情報を、もっと広範囲に変更できれば、なお一層好ましい。

運転姿勢は、ステアリングコラムが長く快適。視界も良好。シートは、もう少し座面の長さが欲しいところ。

実用性はほどほど。大きなセンターコンソールには、カップホルダーと浅めの小物入れのみ。もっと大容量の収納を用意できそうに見える。ワイヤレス充電パッド・トレイも、より深い方がスマホは安定するはず。

後席側の空間は、アウディQ5と同等で、X3より若干狭い。荷室容量は477L。Q5とX3は550Lで、明らかな差がある。荷室のフロア下には広い空間があるものの、フォーム材で利用が制限されている。吸音するための素材のようだが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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