全体的に「イイクルマ」 シャオペンG6 ロングレンジへ試乗 モデルYを徹底ライバル視

公開 : 2025.02.13 19:05

モデルYを徹底的にライバル視して生まれたG6 アウディやBMWから大きく見劣りしない車内 清々しく速い加速力 少し硬めの乗り心地 不満ない機能をより安価に 英編集部の評価は?

モデルYを徹底的にライバル視して生まれたG6

世界で最も売れているバッテリーEVは? テスラ・モデルYだ。それを徹底的にライバル視して生まれたのが、今回試乗したシャオペンG6。英国にも、インターナショナル・モーターズ社を通じて導入が始まった。さらに、4種のシャオペンを輸入予定だという。

このブランドが強みとするのが、スマートなデジタル技術と持続可能性。同社の研究施設は中国外の複数の国にも存在し、世界各国でのビジネス展開を計画している。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)

大きな目標を背負ったG6だが、第一印象を左右するスタイリングには、もう少し特長が欲しいかも。中型の電動SUVにはライバルが多く、ヒョンデ・アイオニック 5などとも比較されるはず。ヘッドライトをスリムにしたモデルY、と表現したくなる。

ボディサイズは、ひと回り大きい。全長4891mm、全幅1937mm、全高1680mmだ。

パワートレインの展開は、シングルモーターのスタンダードレンジとロングレンジに、ツインモーターのパフォーマンスという3種類。航続距離も含めて、モデルYの設定が強く意識されたことは間違いない。

駆動用バッテリーの容量は、スタンダードでLFPの66kWh。ロングとパフォーマンスには、NMCの87.5kWhユニットが載る。急速充電は前者で215kW、後者で280kWと高速。20分程度で、残量10%から80%へ回復できる計算だ。

英国価格の正式発表はまだだが、スタンダードで約4万ポンド(約780万円)から。ロングでは4万3000ポンド(約839万円)へ上昇する見込みだが、モデルYよりだいぶお手頃といえる。

アウディBMWから大きく見劣りしない車内

インテリアは、ライバルより安価なことを感じさせない。印象の薄いデザインではあるものの、これで充分と感じさせる仕上がり。多くのユーザーが、納得できると思う。

車内はモデルYより狭めだが、アイオニック 5と同等の空間を得ている。前後のシートへ、背の高い大人が快適に座れる。床下に収納はないものの、荷室の容量は571L。フロント側のフランクは備わらない。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)

内装には、柔らかな人工皮革がふんだんに用いられ、小物入れも点在。全体的な質感は高く、アウディやBMWと比べても、大きく見劣りはしないだろう。オーディオの音質も良好。電話用などに、ヘッドレスト横にも小径スピーカーが備わる。

ダッシュボードの中央には、大きなタッチモニター。速度や航続距離が表示されるメーター用モニターも独立してある。運転席からの視界は広い。

BYDやMGなどと比べて、インフォテインメント・システムの使い勝手は良好。ショートカットメニューが常時表示され、頻繁に使う機能は2度のタップで到達できる。クアルコム社製プロセッサが実装され、画像は高精細で動作も高速だ。

それでも、実際に押せるハードボタンと同等に、扱いやすいわけではない。例えば、高速道路を走行中にドアミラーの調整メニューを探し出すのは容易ではない。英語の翻訳にも、少し違和感はある。

一方、シャオペンの技術者は数か月をかけて、グレートブリテン島で英国仕様を仕上げたと主張する。その成果として、車線維持支援や制限速度認識などのオン/オフは簡単。アップル・カープレイも標準で備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事