【内田社長退任でどうなる日産】現実はホンダと復縁?日産再生が成功するために必要な『選択肢』

公開 : 2025.03.12 18:05

日産自動車が岐路に立たされています。内田社長だけでなく、星野朝子副社長らが退任し、経営体制を4月1日から刷新します。ホンダとの復縁も含めて様々な選択肢がある中、日産はどうするべきなのでしょう?桃田健史の分析です。

日産再生が成功するために誰とどう組む?

日産が4月から新しい経営体制となる。これで日産は本当に変わるのだろうか?

3月11日の午後、日産が取締役会を開き、新経営体制について議論するという報道が同日朝から目立った。こうした場合、通例では夕方から横浜のグローバル本社で記者会見が行われるため、筆者は日産からの会見実施の正式通知が来る前に、グローバル本社1階に到着し、日産からの連絡を待っていた。

3月31日までで内田社長が退任し、日産自動車は経営体制を刷新する。
3月31日までで内田社長が退任し、日産自動車は経営体制を刷新する。    日産自動車

16時を過ぎても日産から連絡が来ないため、会見は明日以降かもしれないと思っていたところ、17時を少し回ってから「会見は18時半からオンラインで実施」というメールが届いた。現場にいた肌感覚としては、取締役会は長時間に渡り様々な案件についての議論があったものと推測した。

日産の発表によると、内田誠代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)が3月31日に退任し、後任には現在チーフ・プラニングオフィサーを務めるイヴァン・エスピノーサ氏が4月1日付けで就任する。

あわせて、執行役副社長の星野朝子氏(チーフ・ブランド&カスタマーオフィサー)、中畔邦推氏(チーム・テクノロジーオフィサー)、坂本秀行氏(チーフ・モノづくりオフィサー)、渡部英朗氏(チーフ・ストラテジー&コーポレイトアフェアーズオフィサー)が退任。

つまり、社長と副社長がまとめて入れ替わる。

日産の社内、ステークホルダー、株主、そしてユーザーからの、日産再生には役員刷新が必然という厳しい声も踏まえて、取締役会として決断したかたちだ。

誰と組むのか?

今回のオンライン会見では、内田社長のコメントで大きく2つの点が気になった。

1つ目は、社長退任に至った経緯の中で「従業員の一部から信任を得られない状況になった」という発言だ。

筆者は会見に備えて日産自動車の本社で待機したが、結局オンラインとなった。
筆者は会見に備えて日産自動車の本社で待機したが、結局オンラインとなった。    桃田健史

業績が悪化する中、日産が直面している様々な課題に従業員が一丸となって取り組むべき時期なのだが、その従業員の一部からNOを突きつけられたというのだ。この『従業員の一部』の詳細は明らかにされていないが、退任の弁としては極めて重いことという印象を、筆者は持った。

こうした『従業員の一部からの反発』が、ホンダとの経営統合撤退によるものなのか、それとも昨秋から本格的に推進している事業再生に向けた『ターンアラウンド』に対するものなのか、会見の中では明らかにされていない。

2つ目は、『次の一手』に関してだ。事業再生に向けた戦略検討の中で「多角的な視点から新たなるパートナーシップの機会を模索しており、現在様々な選択肢の検討が始まっている」と発言した。

2月の第3四半期決算発表の際にも、ホンダとの経営統合協議の中止を受けて、新たなるパートナー探しの重要性について、内田社長は触れている。今回、『様々な選択肢』という表現になったことで、巷の噂の真実味は増した印象だ。

噂とは、ホンダ、三菱、さらに台湾の鴻海を加えた連携。また、アップルなど大手ITとの連携。さらに、ホンダ以外の国内大手自動車メーカーとの連携など、『様々な噂』がある。そこには当然、金融機関の影響力が及ぶ可能性も考えられるため、日産の言う『様々な選択肢』は多岐に渡ることが推測される。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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