ルノー・メガーヌGT 220クーペ

公開 : 2015.02.27 23:50  更新 : 2017.05.29 19:22

意図的に強くアクセル・ペダルを踏みつけてみると、比較的早期に前輪がずるりと滑り始める傾向にあるものの、’お楽しみ’ を優先したシャシーのおかげでスロットル・コントロールのみで狙ったラインに戻すことが可能。

しかしコーナーの曲率が小さくなった時に同じことすると、たちまちオーバーステアに転じることがあるため、注意が必要だ。この際のESPの介入もどこか頼りない。過剰な介入も困るけれどもう少しアシストしてくれればと感じることが多かった。

サスペンションの硬さは275のそれほどでもないものの、快適性<スピードという優先事項は容易に見て取れる。特に高速巡航時にリッジやジョイントを乗り越えた際には車体がバウンドしやすく、この度にうんざりさせられることもあった。

ウインド/タイヤ・ノイズもお世辞にも小さいとは言いがたい。また、静止加速では有利に働いたクロース・レシオも、高速巡航時ではかえって仇となり、110km/h前後の段階で3000rpmという回転域になってしまった。

キャビンは、素晴らしいというよりもまずまずといったところ。アルミ・ペダルや艶のあるカーボン仕上げなどGT 220ならではの美点はあるものの、いかにも安っぽい素材が散見されるのは残念。

フロントは、長身の大人でも十分に余裕があるほどのレッグ/ヘッド・ルームが用意されているにもかかわらず、リーチの調整が可能なステアリングの調整幅が小さいため、スペースの恩恵を受けることは難しい。場合によっては、長身のドライバーは限界まで腕を伸ばして運転するはめになる。

シート・ポジションももう少し低くして欲しいところ。一番低くした状態でも座面は高く、スポーツ・シートのタイトな横幅も乗る者の体格を選ぶ。快適とはいえないのは惜しい。

また、2ドアのため後席の乗り降りははっきりといってしづらい。乗り込んだとしてもクーペゆえの小さな窓のせいで閉所恐怖症の人ならば耐え難いはず。短い距離の移動や子供のための、あくまで補助的なスペースと考えた方がいいだろう。後席に人を乗せることが多いならば、5ドアを買った方が後悔せずに済むはずだ。

ただし3ドア・クーペでも荷室容量はなかなかのもの。後席を立てた状態で377ℓという数字は、ハッチバックのフォード・フォーカスより61ℓ大きい。横幅の小さく、高さのある開口部のせいで大きい荷物は積めないものの、バッグなどの小分けができるものならたっぷりと飲み込んでくれる。

衛星ナビゲーションやプレミアム・オーディオ・システム、リア・カメラ、ブルートゥース、USBポート、ヘッドライト/ワイパー、クルーズ・コントロール、LEDデイライト、左右独立式エアコンは標準装備。

ただし車線逸脱防止支援システムや自動ライト、シート・ヒーターは英国では別途料金が必要となる。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

ルノー メガーヌの人気画像