【2026年日本導入開始】韓国キアがPV5の詳細をソウルで公開!韓国LG連携の多彩コンセプトも登場

公開 : 2025.04.14 11:05

2026年春に大手商社の双日が販売総代理店として日本に導入する、韓国キアのEVバン『PV5』。4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』で実車を見てきた桃田健史が、キアの現状などをレポートします。

ゼロに近い日本でのキア知名度

日本市場へ2026年の正式導入が確定している、韓国キアの商用EV『PV5』。そう聞いても、日本のユーザーのほとんどがピンとこないだろう。なぜならば、日本ではキアの知名度はゼロに近いからだ。

また、一般ユーザーにとって商用EV市場の現状に興味がある人は少ない。最近は、グローバルで『EV(普及)は踊り場』というニュースを目にすることもある。こうした状況から見て、なぜキアEVが日本上陸するのか、疑問を持つ人がいても不思議ではない。

4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』でキアが展示したPV5。
4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』でキアが展示したPV5。    桃田健史

4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』。主役は韓国市場で約8割を占める、現代・起亜自動車グループ(以下、ヒョンデ・キア)である。

ブランド別でみると、ヒョンデ、ラグジュアリーな『ジェネシス』、そして多様な乗用モデルをラインアップしている『キア』の3つとなる。キアは現在、ヒョンデ傘下となっており、車体、エンジン、モーター、電池などでヒョンデとの共通性が高い。

日本市場向けでは1990年代から進出したものの、販売は伸びずに撤退した。ところが、昨年大きな動きが起こった。大手商社の双日が9月、『キアのEVバンの日本導入に向けキアコーポレーションとの販売総代理店契約を締結した』と発表した。発売開始予定は、2026年春。

しかも、1モデルではなく、『PV5』を皮切りに他の『PBV(プラットフォーム・ビヨンド・ビークル)』を順次導入するというのだ。

ベストタイミングで登場した期待の新世界戦略

キアのPBVとは、次世代の小型商用車『LCV』を意味する。LCVといえば、日本車ではトヨタのハイエース、タウンエース、日産のキャラバン、NV200バネット、また、欧州車ではルノーカングーなどがイメージできるだろう。

だが直近で、大手自動車メーカーでは、LCVのEVシフトのスピードが緩やかとの印象がある。日米欧の各メーカーはコロナ前から様々なコンセプトモデルを披露したり、一部を発売しているのだが、欧州でのEV市場の先行きが不透明になったり、第2次トランプ政権によるEV施策の方向転換の可能性が懸念されるなど、多様な不安要素があるからだ。

ソウルモビリティショーのキア・ブース。
ソウルモビリティショーのキア・ブース。    桃田健史

他方、スタートアップの動きは世界各地で活発で、例えば『ジャパン・モビリティショー2023』でも、日本では馴染みのない欧州系スタートアップ数社がEVの最新LCVを出展して来場者の注目を集めた。大手運輸、運送企業でもすでに導入した事例がある。市場変化をリスクではなく、チャンスとして捉えた動きだと言える。

そうした中で、大手自動車メーカーのヒョンデ・キア・グループのPBVは、昨年1月の世界最大級の家電・IT関連見本市『CES』でコンセプトモデルとして登場。そして今回、地元韓国で様々な量産ベース車と新たなるコンセプトモデルが一気に登場した。グローバルEV市場の動きを精査しながら、良きタイミングで世に出たという印象だ。

報道によれば、キアはPV5導入後、2年毎により大きなサイズのPV7、PV9を市場導入する可能性がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×