パリ・レトロモービルを思わせるオトナな雰囲気【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第6回】

公開 : 2025.04.23 17:05

元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーにまつわるよもやま話です。第6回は、モデルカー好きの目線から見た『オートモビルカウンシル2025』雑感です。

自分にとって貴重な『芸の肥やし』

自動車模型専門誌、趣味の自動車専門誌編集部に所属していた会社員時代には、時折海外取材にも出かけました。今にして思えばその体験のいずれもが、自分にとって貴重な『芸の肥やし』になったわけですが、そんな中でも特に印象深いのが、幾度か訪れたパリのレトロモービルです。

これはご存知のとおり、古今東西の自動車の歴史と文化、そこにまつわる趣味から商売までありとあらゆるものが一堂に会する、クルマ好きにとっては夢のような一大イベントです。

欧州の一流イベントを想起させる『オートモビルカウンシル』。
欧州の一流イベントを想起させる『オートモビルカウンシル』。    長尾循

有名なオークショニア、アールキュリアルによるオークションや、見事なブランディング戦略を展開する現地メーカーのブースも注目の的。その規模と内容はやはり自動車趣味文化の本場である欧州ならではと、毎回行くたびに強く感じていました。

……と思っていたら日本でも始まったのが、そんな欧州の一流イベントを想起させる『オートモビルカウンシル』。イベント全体の紹介は他の記事にも詳しいので、こちらでは会場で拾ったモデルカーの話題を中心にご紹介したいと思います。

1/12ランチア・ストラトス・ゼロを展示

会場に行った方ならご覧になったかと思いますが、今回のイベントにはあの『ランチア・ストラトス・ゼロ』の実車が展示されていました。そして、その貴重な実車展示に合わせて1/12スケールの大きなミニカーを展示販売していたのが、老舗ミニカー専門店『キッドボックス』のブース。

モデルはイタリアのモデルカーメーカー、『TOPMARQUES(トップマルケス)』からリリースされているレジン製ミニカーです。開閉ギミックを持たないレジン製のプロポーションモデルで、スケールは1/12と大きなもの。スルメイカのように車高の低い実車のイメージがよく再現されており、ミニカーといえども大きな存在感を放っていました。

トップマルケスからリリースされているストラトス・ゼロのミニカー。
トップマルケスからリリースされているストラトス・ゼロのミニカー。    長尾循

ジョルジェット・ジウジアーロ氏に敬意を表し

トークショーのために来日したジョルジェット・ジウジアーロ氏に敬意を表し、初代フィアット・パンダや四代目スズキ・キャリー・バンなど、ジウジアーロゆかりの車種のミニカー展示販売を行っていたのは、ホビー系老舗商社として知られる『国際貿易』のブース。

パンダはイタリアの『ブルム』製、キャリー・バンは国際貿易のオリジナルブランド、『ファースト43』の製品で、いずれも1/43とミニカーの国際標準スケールです。

ジウジアーロゆかりの車種、イタリアのブルム製フィアット・パンダ。
ジウジアーロゆかりの車種、イタリアのブルム製フィアット・パンダ。    長尾循

イラストやポスターを扱っているオートモビリア系のブースでも、アルファ・ロメオジュリア・クーペ、初代フォルクスワーゲン・ゴルフロータス・エスプリにアッソ・ディ・フィォーリ(いすゞピアッツァ)などなど、ジウジアーロ・デザインのクルマをモチーフとした作品が多く見られました。

これらのブースでも、主催者の意図を汲んでイベントのメインコンテンツに寄せた展示を意識していることが見て取れます。ツーといえばカー、このような主催者側と参加者側との阿吽の呼吸が、このオートモビルカウンシルのオトナな雰囲気の醸造に資するものとなっているのでしょう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

長尾循の古今東西モデルカーよもやま話の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×