1968年の名車を発売 ボアハム・フォード・エスコート Mk1(1) 限定24台の68エディション

公開 : 2025.05.13 19:05

フォードとのライセンス契約で作られる復刻版エスコート Mk1 微妙にバランスが整えられたボディ NA 1.8L 4気筒は205ps 公道仕様とは別物の68エディション UK編集部が試乗

フォードとライセンス契約 正規の復刻版

2025年の夏、一部の人には待望の、1968年式フォード・エスコート RS Mk1が英国で新たに発売される。精巧に再現された、コンティニュエーション・モデルだが。

エンジンルームには、フォードのロゴが記されたシャシープレートが貼られ、新車としてのVIN番号が刻印される。生産するのは、ブレートブリテン島中部、コベントリーに拠点を構えるボアハム・モーターワークス社だ。

ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)
ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)    アレックス・ローレンス(Alex Lawrence)

同社は、DRVNオートモーティブ社の傘下にあり、究極の復刻モデルを生み出すというビジョンを掲げている。2024年に、フォードと10年間のライセンス契約を締結。過去の名車を厳選し、現代の技術で蘇らせるという。

最初の2台としてピックアップされたのが、エスコート RS Mk1とRS200とのこと。後者にも、強い関心を抱かずにはいられない。

バランスが整えられたMk1のボディ

フォードがボアハムのプロジェクトへ協力する決定要因となったのが、OEM水準の高度な完成度を得ていたため。使用素材や製造品質が、ブルーオーバルのお眼鏡に叶ったといえる。

設計図面には、オリジナルをレーザースキャンしたデータが利用されている。そこに、同社の素晴らしい美的感覚が融合し、基本的なプロポーションを保ちつつ、バランスが整えられたボディが生み出されている。ボンネットは、カーボンファイバー製だ。

ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)
ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)    アレックス・ローレンス(Alex Lawrence)

スタイリングは、ジャガー Fタイプアストン マーティンDB9も生み出した、ウェイン・バージェス氏。フォードのデザイン部門を率いた、J.メイズ氏も参画したという。

エンジンは2025年の精度で組み上げられ、出色の出力と信頼性を獲得したと主張される。かくしてお値段は、29万5000ポンド(約5753万円)。道楽へこの程度のお金をご用意できるなら、ぜひこの1台にも刮目していただきたい。

24台限定のサーキット専用68エディション

今回の試乗車には、アラン・マン・レーシング(AMR)が走らせたグループ5仕様のリバリーが施されている。AMRとのコラボレーションで24台が限定で作られる、エスコート Mk1 アラン・マン「68エディション」のプロトタイプだからだ。

レトロモダンなキャビンや、1万rpmまで回るエンジンのサウンド、ダンパーなどの最終調整段階にある。オーストラリア出身のレーシングドライバー、フランク・ガードナー氏が駆り1968年の英国サルーンカー選手権を制した、AMR グループ5仕様を基準に。

ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)
ボアハム・フォード・エスコート Mk1 アラン・マン 68エディション(サーキット仕様)    アレックス・ローレンス(Alex Lawrence)

ただし、68エディションはサーキット専用。FIAの技術的基準に準拠し、該当レースへこのまま参戦できるという。近日発売される公道仕様と同じ、ボディシェルがベースだ。

担当者によれば、オーナーのレースライセンス取得から、ヒストリックレースへのピットクルー派遣まで、ボアハムはサポートが可能とのこと。眩しいゴールドとレッドのボディを、ガレージから出さないのはもったいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ボアハム・フォード・エスコート Mk1の前後関係

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