狙うは小さなプレミアム 最新 ヒョンデ・インスター(1) クラスに縛られないハードを深掘り

公開 : 2025.06.09 19:05

従来のカテゴリーに縛られない小さなEV、インスター ロングレンジなら49kWhで368km 見た目以上に広い車内 余裕は感じにくい114ps 高速域では想像以上に熟成のマナー UK編集部が試乗

従来のカテゴリーへ縛られない小さなEV

小さな電気自動車が、欧州では急拡大中。そこへ新たに投入されたのが、成熟といえる技術を個性的なボディで包み込んだ、ヒョンデ・インスターだ。

サイズは全長3825mm、全幅1610mm、全高1575mmで、フォルクスワーゲンでいうとUp!とポロの中間くらい。それでいて装備は充実しており、プレミアム志向といえ、価格設定はやや高め。従来のカテゴリーには縛られていない。

ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)

上級感を狙った最近のコンパクトカーといえば、バッテリーEVではホンダeが思い浮かぶ。我々に身近な大きさのクルマの、幅が広がることは歓迎できる。

スタイリングは、強調されたフェンダーラインと、短いオーバーハングが特長。ブラックの樹脂トリムがホイールアーチを覆い、SUVのような雰囲気を得ている。ライトの処理が特徴的ながら、整った見た目だと思う。好き嫌いは分かれそうだが。

ロングレンジなら49kWhで368km

プラットフォームは、2021年に韓国で発売され見た目の雰囲気も似ている、エンジン車のヒョンデ・キャスパーがベース。電動パワートレインを搭載するべく、長さが伸ばされ、各部に設計変更を受けている。

パワートレインは、2種類から選べる。安価なスタンダードレンジには42kWhの駆動用バッテリーと96psのモーターが載り、前輪駆動で航続距離は326km。ロングレンジでは49kWhと114psへ強化され、368kmへ伸びる。

ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)

トリムグレードは、英国仕様では01、02、03の3段階。英国価格は2万3495ポンド(約458万円)からに設定された。

見た目以上に広い車内 後席側はリムジン並み

車内空間は、見た目以上に広い。台形シルエットのおかげで、頭上空間にはかなりの余裕がある。後席側の前後方向は、リムジン並みに広々といっていい。他方、狭めの全幅のおかげで、前席側のゆとりはそこまで大きいわけではない。

インテリアデザインは、アイオニック5の縮小版ではなく、インスター独自のもの。フロントシートは座面がやや短く、背もたれは腰回りの張りが弱め。アームレストが備わり、その下に2本分のカップホルダーがある。

ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)
ヒョンデ・インスター 02(英国仕様)

通常の荷室容量は280Lと、このクラスでは狭い方に入るが、リアシートは左右個別にスライド可能で拡大できる。背もたれを倒せば、大きな荷物も載せられる。フロントシート側もフラットに倒せ、大人が横になることもできる。

内装は、プラスティック然とした領域が狭くなく、高級感は高くない。それでも製造品質はソリッドで、頻繁に肌が触れそうな場所はクロス風の処理を得ている。レザー内装も、市場によっては指定できるそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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