BMW 435d MスポーツxDriveグランクーペ

公開 : 2015.03.06 23:50  更新 : 2017.05.23 10:26

とてつもなく速いディーゼル版4WDクーペは、賞賛に値するか? それとも単なるニッチ・モデルに留まるか? 雪道にて435d xDriveグラン・クーペを試す。

■どんなクルマ?

まずは数値のおさらいから。0-100km/hタイムは4.8秒。435iよりも0.1秒の短縮だ。E90 M3が4.7秒と考えると、その速さがお分かりいただけるのではないだろうか。

この瞬発力の下支えになるのが、オン・デマンド4WDシステムによる強大なトルク供給。ディーゼル・エンジンの4ドア・サルーンも、ここまで速くなったのか……と、感心するとともにため息が漏れてくる。

3.0ℓストレート6のマークする燃料消費率は17.8km/ℓ。突出したパフォーマンスと優れた経済性を目の前にすれば、いくらニッチ・モデルだと言われようとも、まったく気にならなくなってしまうのも事実だ。

■どんな感じ?

事実、腰下が4WDにすり替わることによって、FRの3/4シリーズに見られる鋭いハンドリングには一歩及ばない。

”フロントがだらしない” とまでは言わないが、やはり身のこなしには重みを感じるし、アンダーステアの傾向も強い。

転舵による鼻先の動きの度合いも、速度域によっては一貫性が損なわれ、ステアリングの重みが増すスポーツ・モード時には不意にセンター付近のフィールがぼんやりとすることもある。

しかしながら、リラックスして運転ができるクルーザーらしい要素と、怒涛の勢いで加速していくキャラクターの融合には、いやでも気持ちは高ぶるもの。

これを考えると、九十九折での身のこなしがFRモデルにやや劣ったとしても、さしたる問題ではないとさえ感じる。

たとえ混雑で身動きが取れないようなシチュエーションでも、運転そのものに苛立ちを感じないのは、どうやら8速ATのなめらかな変速によるところも大きい様子。

段数ゆえに、放っておけば次々に変速していくため、もっとうえまで引っ張りたい場合は、(少し小さすぎる)ステアリング・ホイール上のパドルを弾けばいい。

他のほとんどのディーゼルよりも嫋やかに気持よく回ってくれるのは嬉しい。パドル操作による変速にも時差はなく、快感を得るには十分だと感じた。

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