メルセデスAMG、新型EVで「エンジン音と振動」再現 ファンの理解獲得へ

公開 : 2025.07.01 18:45

メルセデスAMGは今後発売するEVで、V8やV12エンジンの音と振動、そしてギアチェンジを疑似的に再現する方針です。従来のファンを電動車に引き込むために重要な「エモーショナル」な要素とされています。

「変速」時の動きもシミュレート

メルセデスAMGは、今後のEVでエンジン車のサウンドやギアチェンジを疑似的に再現する方針だ。これまでのV8およびV12エンジン搭載スポーツカーの「エモーショナル」な要素を残そうとしている。

新開発の『コンセプトAMG GT XX』の発表会で、メルセデス・ベンツの技術責任者であるマルクス・シェーファー氏は、ドライバーを魅了するためにギアチェンジやV8エンジンの振動をシミュレートする可能性があることを示唆した。

『AMGコンセプトGT XX』の量産バージョンは来年投入される予定だ。
『AMGコンセプトGT XX』の量産バージョンは来年投入される予定だ。    メルセデスAMG

同氏は、「ノイズ、サウンド、振動、ギアチェンジといった面で、クルマの印象はどのように変わるでしょうか? クルマは人の感情に訴えるものでなければなりません。それがAMGモデルのあるべき姿であり、まさにそれをAMG GT XXにひとつひとつ取り入れたのです」と語った。

コンセプトAMG GT XXの量産バージョンは来年発売予定で、ヘッドライトにV8のエンジン音を再生するスピーカーが内蔵されることが明らかになっている。そしてシェーファー氏の発言からは、運転の楽しさを高めるために、エンジンやトランスミッションの動きを音や振動で再現しようとしていることが伺える。

実際、ソーシャルメディアに投稿されたメルセデスAMG公式の動画では、プロトタイプが「ギア」をシフトダウンしながら減速し、停止する様子が映っている。

シェーファー氏は、こうした機能には英国のヤサ(Yasa)社が開発したアキシャルフラックスモーターの柔軟性が必要不可欠であると述べている。

「パワー、ドライバビリティ、サーキットでのパフォーマンスに関しては、本物でなければなりません。しかし、AMGは、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)の観点からも、エモーショナルな体験を提供します」

「(このクルマでは)V8、V12のレース志向のAMGモデルに現在備わっているすべての機能を取り入れます」

シェーファー氏は同時に、「ハードコアなV8ファンを電動車に引き込むことは難しい。純粋なEVでは、その役割は果たせないでしょう」と認めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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