セアト・レオンSTクプラ280

公開 : 2015.04.27 23:40  更新 : 2017.05.29 18:44

トラクションは先述のように今ひとつであることは否定しないが、コーナリング時のグリップとスタビリティはきちんと確保されている。

加えて、シャシーに悪癖が見受けられないため、自信をもってコーナーに飛び込め、コーナー中腹あたりでも、あらかじめ決めておいたラインから逸脱することはない。

全般的な味付けはかなりスポーティーであり、コーナリング時にも路面を掴んで離さない性質であることを考えると、乗り心地の良さもこのクルマの良点だ。

多くの電制システムがそうであるように、レオンSTクプラ280のステアリングも味わいに満ちているわけではないが、出来の良いシャシーの評価を損なうほどではなく、同時に車体との相性の良さを感じる。

また、可変システムゆえ、高速道路では比較的たおやかなステア・フィールを有しており、反面、峠道では切れ味優れるクイックなステアリングに転じる。

内装はスタンダードなセアト・レオンSTと変りなく、ドライビング・ポジションや4名乗車の際のスペースに問題はない。仮にラガーマンのお子様がいるとしても、実際的には問題なさそうだ。

荷室の広さはもちろんのこと、形状も実用に適している。両サイドに組み込んだストレージ・ポケットに助けられることも多いだろうし、リア・シートをホールドした際、フロアをフラットにできるよう、トランク底面の高さを上下に調整できるギミックもありがたい。

荷物をたくさん抱えている場合、トランク側から簡単に上げ下げできるスプリング式のシートも嬉しい。

キャビンのパネルの組み込み精度はしっかりしているし、主要パーツに柔らかい素材を用いる点にも好感がもてる。スポーツ・シートはアルカンターラで縁取られており、見た目、座り心地も実にいい。

またアルミ製のペダルやシル・プレート、グロス・ブラックのトリムやスポーツ・ステアリング・ホイールは、どことなく闘争精神を掻きたててくれる。ただし、もっともっとスポーティでも良さそうだと思う……と言うのは欲張りすぎだろうか。

対するエクステリアは、19インチのアロイ・ホイールやアグレッシブなフロント周り、赤いブレーキ・キャリパー、リア・ディフューザー、LEDヘッドライトなど、基準モデルと明らかに異なる部分が多く、実にスポーティだ。

標準でインフォテインメント・システムを備えた衛星ナビゲーションが搭載されるなど、セアトらしい ’太っ腹’ な装備内容はSTクプラ280でも健在だが、最新のシステムではないため、動作はおっとりとしているので注意が必要。

また、5.8インチのタッチスクリーンは今の基準からすると些か小さすぎ、解像度の低さも無視できるものではない。

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