エスピリ・デ・モンジュイ
2015.04.17〜19
雲ひとつない穏やかな春の陽光のもと、5回目となるヒストリックカー・レース・ミーティング、”エスピリトゥ・デ・モンジュイ”が4月17日から19日に開催された。週末を通しておよそ3万4000人を数えた来場者は、クラシック世代から現代までの幅広いレーシングカーを鑑賞し、連日開催されるGTスポーツクラブやKTMクロスボー・バトルといったトラック・イベントを楽しんだ。
広々としたパドックには多数の展示車両が並び、カートの体験コースが設置されたほか、子ども向けのアトラクション、物販コーナー、バンドのライブパフォーマンスといったオフ・トラックのイベントも人気を集めていた。なかでも目を引いたのは、セアトが開催した歴代のコンセプトカー展示だ。また、フィアットをベースにしたモデルの歴史を追う展も素晴らしい内容であった。
バルセロナ北西の丘陵地帯に位置し、スペイン・グランプリも開催される1周4.655kmのサーキットは、地形を活かしたアップ・ダウンのあるレイアウトになっている。タイムを出すには確かな腕が要求されるコースで、国際的なビッグ・イベントの開催地としても知られる。非常に見晴らしのいい観客席が数多く設置されているのも特徴だ。このサーキットは1991年に完成し、その年のスペイン・グランプリの開催地となった。当時の名称はカタルーニャ・サーキットであったが、バルセロナ市議会とのスポンサー契約により市の名称が付け加えられ、今はバルセロナ・カタルーニャ・サーキットと呼ばれている。
レース形式のプログラムは14種類におよび、そのなかには「FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ」の2015年初戦も含まれ、33台ものエントラントによる激戦が繰り広げられた。グレゴリー・ソーントン(イギリス)はロータス91/5で第1レースに勝利したが、そのレースで2位に甘んじたティレル010のロイック・ディーマン(ベルギー)が第2レースでは順位をひっくり返している。
「ヒストリック・グランプリカーズ・アソシエーション」のレースには29台のクラシック・フォーミュラが参戦し、第1、第2レースともに結果はブラバムBT11駆るジョン・フェアリー(イギリス)が優勝し、2位はロータス18/21のピーター・ホースマン(イギリス)。
グループCカテゴリーは少々台数が減り12台のエントリーとなったが、色とりどりの象徴的なカラーリングをまとったマシンが争い、第1レースはシルクカットのスポンサーカラーがまぶしいジャガーXJR14のクリストフ・アンセンブルグ(ベルギー)が優勝。しかし、第2レースではニッサンR90CKを駆る久保田氏に栄冠を奪われた。
「FIAマスターズ・ヒストリック・スポーツカー・レース」ではジェイソン・ライト(アメリカ)がローラT70Mk-3Bで優勝。同じマシンのレオ・ボヤジーデス/サイモン・ハドフィールド組はトップを走行中に電気系トラブルに見舞われ2位に甘んじている。ポルトガル人コンビのルイおよびペドロ・マセド・シルバ組はローラT70Mk-2で3位に入り、ポディウムをローラ勢で独占した。
「ジェントルマン・ドライバーズ&プレ66ツーリングカー・レース」はボヤジーデス/ハドフィールド組が終始トラブルに見舞われることなくシェルビー・デイトナ・コブラで快走し幸運をつかみ、ACコブラのマセド・シルバ組(ポルトガル)が2位、同じマシンのカルロス・モンテベルデ/ゲーリー・ピアスンが3位入賞となった。
イタリアから参戦した3台のアルファ・ロメオを除けば、スペイン人が34台のリストの大部分を占めた「トロフェオ・ハビエル・デル・アルコ」は、ルノー5 GTターボからVWゴルフGTIや様々なポルシェ911まで、バラエティに富んだマシンが揃った。第1レースはポルシェ968カップを駆るフェルナンド・ナバレッテ/アントニオ・デ・ラ・レイナ組が勝利を手にし、第2レースではBMW E30 M3のマヌエル・エルミダに栄冠が渡った。両レースともに、2位はポルシェ911 3.0RSのロペス・アンデス、3位はフォード・シエラ・コスワースのファン・アントニオ・ミランダ。
モダン・マシン・カテゴリーの「KTMクロスボー・バトル」では、元トロロッソのスペイン人F1ドライバー、ハイメ・アルグエルスアリも参加し第1レースで優勝を飾っている。しかし、第2レースでは幸運に見放され、ニキ・ロイトウィラー(スイス)に勝利を奪われている。
新設の「GTスポーツクラブ・シリーズ・フォー・ジェントルマンGTドライバーズ」では、ポルシェ911GT3Rのステファノ・ペズッチ(イタリア)がフェラーリ458GT3を駆るマルコ・コルドーニからなんなく勝利を奪っている。第2レースではそのペズッチのポルシェはオーバーヒートに見舞われ、フェラーリ458GT3の2台が勝負を争い、マッシミリアーノ・ビアンキ(イタリア)がセドリック・メザール(フランス)をかわして優勝している。
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/ロータス91
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/ブラバムBT49C
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/マーチ761
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/リジェJS11/15+JS17(後)
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/ティレル010
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/アローズA4
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/シャドーDN9
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/ヘスケス308E
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FIAマスターズ・ヒストリックF1チャンピオンシップ/フィッティパルディ F8
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グループCレーシングのカテゴリーは往年の名優が12台参加した。先頭はかつてM.シューマッハがドライブしたザウバー・メルセデスC11。
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グループCレーシング/ニッサンR90CK。日本からのエントリーで久保田氏はレース1で2位、レース2で優勝を果たした。
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グループCレーシング/懐かしのシルクカットカラーをまとうジャガーXJR14はNA3.5ℓエンジンを積む。レース1を制した。
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グループCレーシング/ニッサンRC90
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グループCレーシング/ジャガーXJR16
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グループCレーシング/ポルシェ962
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グループCレーシング/ALD C289
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グループCレーシング/ゲブハルト C91
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グループCレーシング/スパイスSE90GTP
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ジェントルマンGTドライバーズ・レースは、フェラーリ458GT3やアウディR8などの現行マシンで競われた。
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モダン・マシン・カテゴリーでは「KTMクロスボー・バトル」というワンメイクレースも行われた。
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FIAマスターズ・ヒストリック・スポーツカー・レースはJ.ライトのローラT70Mk-3Bが優勝した。
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今回はフォードGT40のデモランが行われ、数多くのGT40が各国からカタルーニャに集まった。
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ローラT70Mk-2に乗るペドロ・マセド・シルバ組は3位に入り、ポディウムをローラ勢が独占した。
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ヒストリックカーレース常連のC.モンテベルデは、コブラを豪快に振り回し4位でフィニッシュ。
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アランマン・カラーのフォード・マスタングは11位でレースを終えた。姉妹車のファルコンは健闘して9位。
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「トロフェオ・ハビエル・デル・アルコ」地元勢が主だが、イタリアから3台のアルファが挑んだ。
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ヒストリック・グランプリカーズ・アソシエーションには29台のクラシック・フォーミュラが参戦した。
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パドックの中央にはフィアットをベースにしたモデルの歴史を追う展も素晴らしい内容であった。
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セアト・ブースにさりげなく展示されていたセアト・シアタ・ビーチカー。超貴重なモデルだ。
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ヒストリック・モデルのほかセアトの歴代コンセプトカーが一堂に展示された。こちらはタンゴ。