ミニ・ジョン・クーパー・ワークス

公開 : 2015.06.04 23:40  更新 : 2022.12.12 21:30

  • フロント両サイドはクーパーSではフォグランプだがJCWではエアインテーク・ダクトになっている。助手席側ダクト内を覗くとサブラジエターを確認できた。

  • ルーフ後端のリア・スポイラー、ディフューザ・インサート付きリア・エプロンが専用の装備。エグゾーストからは豪快なバックファイア音が響いた。

■どんなクルマ?

21世紀に誕生したBMWミニの最強バージョンがジョン・クーパー・ワークス(JCW)である。JCWとは、もともとはジョン・クーパーの息子のマイケルがBMWミニのレースカーやチューニング・パーツを手がける会社として2000年に設立したものだ。その可能性に気づいたBMWは、06年にJCWのパーツをクーパーSに組み込み、世界限定2000台の特別なモデルとして発売した。「クーパーS with JCW GP キット」という長い名称のこれは、軽量化のために後席を取っ払った、痛快かつ過激な、公道を走れるレースカーといってよかった。

08年に登場した2代目はカタログ・モデルとなり、JCWはBMWのMにあたるミニの高性能サブブランドと位置づけられた。そうするためにBMWはJCWを会社ごとマイケルから買い取ったのだった。08年以降、JCWは世界中で4万3080台が販売された。そのうち約3000台を日本が担っている。

本年3月から国内での受注が開始となった3代目ミニJCWは、当然、現行ミニの最強バージョンである。エンジンは、クーパーSの2ℓ直4ターボのブースト圧を2.2に高める一方、サブラジエターを追加して冷却系を強化、最高出力192ps/5000rpm、最大トルク28.6kg-m(オーバーブースト時30.6kg-m)/1250-4600rpmをそれぞれ231ps/5200rpm、32.6kg-m/1250-4800rpm(オーバーブースト時35.7kg-m)に引き上げている。馬力にして約40ps、トルクはおよそ4kg-m、価格は80万円のアップとなる。

ギアボックスは6MTと6ATの設定がある。新設計の6ATはロックアップ領域を増やして燃費を稼ぐ一方で、0-100km/hをクーパーSより0.6秒速い6.1秒で駆け抜ける。最高速は246km/hに達する。フォルクスワーゲン・ゴルフGTIを上回る加速性能を持っているわけだけれど、価格も6MTが398万円、6ATが415万円と、ゴルフGTI(DSGのみ)の391万円を上回る。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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