フォルクスワーゲン新CEOにマティアス・ミューラー

公開 : 2015.09.26 22:50  更新 : 2017.06.01 02:04

昨日のニュースでもお伝えした通り、ウィンターコルンの後を継ぐフォルクスワーゲンの新CEOに、最有力候補と言われていたポルシェのCEO、マティアス・ミューラーが就任すると正式に発表があった。

ミューラーは2020年までフォルクスワーゲンを率いるという契約にサインをしたようだ。フォルクスワーゲン・グループは、今後今回のスキャンダルを収束させるために経営陣の刷新もし、他にも幾つかの大きな変化も発表された。

フォルクスワーゲン・グループの議長、ベルトルト・フーバーは、「マティアス・ミューラーは戦略・経営、そして社会適応性において優れた人材だ。フォルクスワーゲン・グループおよびブランドをよく知っており、直ちに全力でその新しい任務に取り組むことができるだろう。監査役会は、とりわけミューラーの物事を建設的に見極める能力を評価している。」と語り、同時に「今回のエミッション・スキャンダルは、モラル的にも政治的にもフォルクスワーゲンの問題を露呈した。エンジン開発者の違法な行為は多くの市民に衝撃を与えることとなった。市民、当局、そして投資家の皆さんにお詫びをしたい。」とも付け加えた。

フーバーは同時に、フォルクスワーゲン・グループのエンジニアリング・ディビジョンの人物を停職処分にすることも発表した。

「管理委員会は、一部の従業員を停職処分とするように勧告した。」とコメントしている。

新しくフォルクスワーゲンのCEOに就いたマティアス・ミューラーは、「私にとって最も優先すべき課題は、フォルクスワーゲン・グループへの信頼を取り戻すことだ。それには最大限の透明性を確保しながら徹底的に調べ上げ、現状を見極めながら、正しい結論を導き出すことだ。私のリーダーシップの下、フォルクスワーゲンはこの業界の中で最も厳格なコンプライアンス及びコーポレート・ガバナンスの基準を策定し、実施する予定である。それに成功すれば、フォルクスワーゲン・グループは、その革新力、ブランド力、そして特に能力と熱意あるチームにより、今回の危機により以前より強い企業として生まれ変わるチャンスがある。」と語った

彼は、CEO就任の打診があったのは極めて最近だとした上で、「監査委員会から正式にCEO就任の依頼があったのは今日のこと。私を信頼してくれたことに感謝したい。そして、この難局を乗り切る自信があるということを表明したい。すべての従業員、投資家、市民からの信頼を回復させるためには困難な問題が多いが、われわれの忍耐力がテストされる場面でもある。スピードも重要だが、その前に完璧であることが最も重要視される。」ともコメントしている。

そして、「われわれのクルマが安全で、顧客を危険に巻き込むようなことは決してない。これだけは言いたい。」とした。

監査委員会のメンバーであるシュテファン・ワイルは、去りゆくマーティン・ウィンターコルンに敬意を表すコメントを発表している。その上で、監査役会は北アメリカ・エリアに限った話でなく、グループとブランドのための新しい経営陣構成を承認している。

ベルトルト・フーバーは、「新しい構成は、エリアを強化し、マネージメント・ボード・グループに戦略と会社の舵取りを任せるものとした。前スコダのCEO、ウィンフリート・ヴァーランドをアメリカおよびメキシコ、カナダを含む北米エリアの責任者とした。そのヴァーランドの後を継ぐスコダのCEOには、ポルシェのセールス&マーケティングだったベルンハルド・マイアーに就いてもらうこととした。」とコメントしている。

フォルクスワーゲンUSAのCEO、マイケル・ホーンは、今回のスキャンダルで解雇されるのではないかという噂もあったが、そのまま職を続けることとなった。これは、全米のディーラーが、彼のための請願活動をした結果と思われる。

セアトのユルゲン・スタックマン議長は、フォルクスワーゲンのセールス&マーケティング担当だったクリスチャン・クリングラーの職を引き継ぐこととなった。但し、クリングラーの退職は、今回の件とは別の話だとフォルクスワーゲンは発表している。

セールス部門のトップには、元アウディのセールス&マーケティング・チーフだったルカ・ディ・メオが就任した。取締役会は、今回、フォルクスワーゲン・グループのマネジメント・レベルからプロダクション部門を外すとし、その代わりに個々のブランド、そして個々のエリアにより大きな権限と責任を与えることにしている。

このフォルクスワーゲン・グループの大きな移動は、ブガッティベントレーといったブランドまで当然ながら影響することになる。現在、ブガッティとベントレーを任されているウルフガング・デュルハイマーは、ポルシェでの長い経歴を持ち、将来的にミューラーの最大のライバルになると言われている人物である。また、アウディ、ランボルギーニ、ドカウティといったブランドにも関係することである。

しかし、現時点ではボリュームのあるブランドであるフォルクスワーゲン、セアト、スコダから手を付けたというところだろう。

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