アストン マーティンDB11

公開 : 2016.09.09 05:50  更新 : 2017.05.29 18:20

DB11のコクピットは相変わらず低くてスポーツカーらしいポジションに収まるが、ドライバーズ・シート周辺の空間はDB9より余裕があり、実際に座ってはみなかったが、リア・シート周辺も広くなっているという。センター・コンソールを中心とするダッシュのレイアウトの基本はDB9やヴァンテージ系と変わらないが、メーターパネルは劇的に変わった。

コンソール中央にあるボタンをプッシュするとエンジンが掛かり、タコメーターとデジタル・スピードメーターを配したディスプレイがメーターパネルの中央に出現する。アストンもついに、リアルメーターからバーチャルなディスプレイ式メーターに変わったのだ。

それはさておき、走り出してみるとDB11、ステアリングの手応えも、乗り心地の感触も、直前に乗ったヴァンキッシュと比べて、すべてがさらに一段とスムーズなことに気づく。逆にいえば、スポーツカーっぽさはヴァンキッシュの方が明確だった、という表現もできるが、いかにも最新のスポーツGTらしい洗練された感覚ではある。

V12ツインターボ・エンジンも今どきな感触で、低回転からもターボラグを感じさせずに吹け上がる。しかも89㎜×69.7㎜というショート・ストロークだから、レスポンスも軽快な印象で、スロットルを踏み込むとコクピットには適度な爆音が侵入してくるのも好ましい。

その一方で、608psと700Nmという数字から連想するような爆発的なパンチを実感させないのは、ひとつはエンジンのキャラクター、もうひとつはシャシーの出来のよさによるものだろう。トランスアクスルを採用する効果と、新開発のマルチリンク式リア・サスペンションの恩恵もあって後輪の挙動が落ち着いているから、ボディ・サイズを忘れて危なげなくサーキットをエンジョイすることができた。

具体的には、強すぎぬアンダーステアと抑えの効いたリアによって、オン・ザ・レールに近い感覚を保ってコーナーの連続をクリアしていく。車重が1.8トン近くあるクルマだから軽快とはいえないが、スポーツカーらしからぬ重ったるさを感じさせることはない。

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