メルセデスのピックアップ・トラック、Xクラスを公開

公開 : 2016.10.26 04:50  更新 : 2017.06.01 00:34

メルセデス・ベンツは、デュアル・キャブ・ピックアップ・トラックであるXクラスを公開した。ルノー・アラスカンと日産ナバラと基本的なアーキテクチャーを共有するモデルで、2017年の第3四半期に正式にリリースされる予定だ。

公開されたコンセプト・モデルは2つのスタイルで、スタイリッシュ・エクスプローラー・セットと名付けられたロード・ユースを主体に考えられたモデルと、アドベンチャー・セットと名付けられたオフロード・ユースを考慮に入れたモデルがある。スタイリッシュ・エクスプローラーは、豪華な本革張りのインテリアと、ターマック仕様のタイヤ、適度な車高などが与えられたモデルで、一方のアドベンチャーは、高められたロード・クリアランス、4WD、アディショナル・ホイール・アーチ、オフロード・タイヤとホイールが装備されたモデルだ。

「このXクラスによって、われわれのポートフォイオの最後のギャップを埋めることになる。」とメルセデス・ベンツのチェアマン、ピーター・ゼッツェはコメント。「われわれのターゲットは、カスタマーが望むスペックのモデルを届けることにある。われわれのピックアップは、伸長している市場における新しいスタンダードになるだろう。」とも語った。

新しいメルセデス・ベンツXクラスは、ダイムラーとルノー日産アライアンスとのジョイント・ベンチャーが生み出すモデルで、スペインおよびアルゼンチンの工場で、ルノー・アラスカン、日産ナバラと共に生産が予定されている。

そのデザインは、昨年前半に公開されたスケッチに忠実で、全体的なイメージは、明らかに他のメルセデス・ベンツの乗用車と同じくする。これはVクラスでも取られている手法だ。特に、フロント・エンドのデザインは、スリー・ポインテッド・スターをはじめ、紛いもないメルセデス・スタイルだ。

アドベンチャーは、フロント・バンパーのロア・セクションに統合されるスカッフ・プレートで、その高い走破性をアピールする。2つのスタイルを用意したのは、市場によりよく対応するためと、メルセデスの関係者はコメントしている。一方のスタイリッシュ・エクスプローラーは、よりアスレティックなタッチで、ボンネットの上のパワードームや、大きくフレアしたホイールアーチなどが特徴だ。

コンベンショナルなフロント・ヒンジの4枚ドアを持つダブル・キャビンで、フロントは独立した2シーター、リアは3人乗車が可能なベンチ・シートが採用されている。

キャビン後方のブートスペースは、アラスカンやナバラと同じようなスタイルを取るが、テールランプはXクラス独自のデザインが採用されている。スタイリッシュ・エクスプローラーは、全体的にオーバル・シェイプを強調したグラフィックで、アドベンチャーはコンベンショナルなバーチカル・シェイプと差別化が図られている。また、アドベンチャーにはピックップ・ペッドのサイドにレールが装備される。

Xクラスの積載量は1,100kg、牽引能力はトップグレードとなるV6ディーゼルを積んだモデルで3,500kgとなる。

ダッシュボードとキャビンは、最新のVクラスに準じたものだが、Cクラスから拝借したロータリー・コントローラーやタッチ式のモニターを持つインフォテインメント・システムが採用される。その一方で、ハンド・ブレーキはアラスカンやナバラと同様にワイヤー式のものがセンター・コンソールに配置される他、エアコンやドライバー・アシスタント・システムなどもアラスカン/ナバラと共有するものもある。

Xクラスの専用装備としては、プロダクション・モデルにはスマートフォンと連携したコニュニケーション・モジュールが採用されることになるだろう。また、超音波センターとレーダーを使用したドライバー・アシスタントもピックアップ・トラックのトップ・モデルに相応しい装備として用意されることとなる。

メルセデスの商用車部門の代表であるフォルカー・モーンヒンウェグは、当初リリースされるXクラスは、5シーターのみで、都市型のライフスタイルのためのファミリー・ビークルであるスタイリッシュ・エクスプローラーであると述べた。

アクセサリーは豊富で、ベッド・カバーを含み多種多様のものが用意される予定で、ユーザーは好みに応じたカスタイズが可能だ。

モーンヒンウェグは、Xクラスのユーザーには5つのタイプがあると分析している。その5つのタイプとは、具体的にはファミリー、商業利用、地主、冒険家、そして個性的な人だという。そして、従来はピックアップを所有することを考えなかった新しい顧客を開拓していきたいと語った。

エンジンは、4気筒のガソリンとディーゼル、V6のガソリンとディーゼルが用意される模様。

駆動方式はスタンダードなグレードにはRWD、V6モデルには標準でロー・ギアリングのトランスファー・ケースとオンデマンド・ティファレンシャル・ロック、電子制御のトラクション・コントロールなどを備えた4Maticとなる。サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアが5リンクというレイアウトで、基本的にはアラスカンやナバラと同様のラダー・フレームに吊られる。

Xクラスは、年間230万台をセールスする中型ピックアップ市場に投入されるメルセデス最後の手札だ。ちなみに、このクラスのリーダーはハイラックス/タコマを持つトヨタであることは間違いなく、その販売台数は年間70万台に上る。

ライバルとなるのは、このトヨタの他、ラグジュアリーなピックアップという点では最近フェイスリフトされたフォルクスワーゲン・アマロックとなる。

Xクラスのメインとなる市場は、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、ヨーロッパ。南アフリカと予想される。オーストラリアとヨーロッパ、南アフリカ向けの生産は、スペインのバルセロナで2017年から開始され、ブラジル、アルゼンチンを含む南米市場向けにはアルゼンチンのコルドバで2018年からスタートする。

メルセデス・ベンツは、世界最大の市場である北米でも販売する可能性はあるとしながらも、最終決定はしていないという。



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