■どんな感じ?

ランボルギーニが願うのは、これまでアヴェンタドールにあった「ダイナミックな輝きの欠如」という批判に応えることである。よって、相も変わらずの巨体だが、エアロダイナミクスにより増したグリップ性能と、四輪操舵によって、俊敏なクルマに仕上げている(と、ランボは言う)。

新しい機能も追加。従来のドライビング・モードは ‘ストラーダ’、‘スポーツ’、‘コルサ’ の3タイプが存在していたが、このたび、さらに上の ‘エゴ’ モードが、あたらしく設定されている。

ちなみに改良はハンドリングに重きを置いているため、スペック・シートそのものは変わらない。よって、トップ・スピードは変わらず350km/h。0-100km/hタイムは2.9秒。200km/hまでは8.9秒。299km/hには24.2秒で達する。

さらにSはハンドリングの改良をうけ、統計上もスペック・シートの下側から這い上がることに成功している。

ご存知のとおり、アヴェンタドールSは獰猛なクルマで、モーター補助のハイブリッド・システムが主流となりつつあるこのご時世に、かたくなに自然吸気のV12エンジンを載せつづけている点だ。

V12は1km走行するごとに394gの二酸化炭素を吐きだす。燃費は1ℓあたり10.4kmである。むろん、公表されている値だから、実際はもっと落ちる。

四輪操舵はステアリングを切った方向に対して、リア・タイヤが逆に切れることで旋回性能を向上。低速コーナーから高速コーナーまでホイールベースを短縮するよりも効果的に安定性を確保する。

四輪操舵システムを採用することで、2.1回転がロック・トゥ・ロックのステアリングが、2.4回転まで切れるようになり、街中においても操舵性の向上から品のある、安らぎのドライビングを可能とした。

しかし実際のところ、ランボルギーニ謹製の新しいフロント・バンパーとスプリッターによって240km/hで130％増しのダウンフォースを、進化したフロントのグリップ感を、サーキットで思い切って試そうとするひとがいるのか? 無用の長物ではないか?

そう思ってしまうのも事実である。