ポルシェ911カレラGTS

公開 : 2017.02.06 05:50  更新 : 2017.05.29 19:03

■どんな感じ?

読者諸兄の言いたいことはわかる。“所詮、カレラSに毛が生えたようなものではないのか” とお思いだろう。

しかし、ことはそれほど単純ではない。

997、991前期に続く3世代目のGTSは、これまで同様に上手い落としどころを見出したクルマだ。持てるリソースの順列組み合わせながら、オプション・リストでは選べないアイテムをちょちょいと付け足すポルシェお得意のトリックで、独特のキャラクターを生み出している。

そして今回は、これまでの2世代以上に発展が成功している印象だ。

まずパワーだが、GT3のような特殊なケースを除けば、後輪駆動の911のなかで最強だ。それは現行モデルだけでなく、911史上においても最高である。

しかし、それ以上にこのクルマを活発に走らせ、サイズ・アップしたターボチャージャーの恩恵を感じるのは、5kg-mほど太くなったトルクだ。

元来、極めて強力な911のトラクションだが、コーナー脱出時、その限界に近い領域を、増強されたトルクが要求し、シャシーのポテンシャルをより引きだすのだ。これにより、直線での速さとコーナリング性能の高さが完璧なマッチングを果たし、シャシーが勝っているカレラSとも、エンジンが圧倒するターボ系とも違う、新たな911像を生みだしている。

ポルシェが “最新こそ最善” といわれるのは、常に改良を続けるという信条ゆえだが、それはこのGTSにも息づいており、動力性能以外にも進歩の跡がうかがえる。

ステアリングのフィールはより明快になり、7速MTは精度を高めた。また、コーナリングでは、巌のごとくソリッドなスタビリティと芳しいまでのスロットル感度の甘美なカクテルに酔いしれるだろう。

その味わいは、モータースポーツ部門によって生みだされたモデルでは成し得ない、近代911の新境地だ。

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